419: D.S選評 ◆sFUaywlmOQ :2016/11/21(月) 01:06:48 ID:EiCrd/Nk
感覚が麻痺してるせいかクソゲーな気がするけど絵と声は素晴らしいし……ということでエントリーするか迷った末、
冷却期間を置いた後にやっぱこれアカンと確信した(発売半年後)ので一本投稿します
強敵多数で次点にさえなれるとも思えないですが、箸休めにどうぞ
D.S. -Dal Segno-
ジャンル こそばゆい学園恋愛ADV
ブランド CIRCUS
発売日 2016年4月28日
価格 9,800 円+税
俗に曲芸商法と呼ばれる画期的なビジネスモデルを生み出したサーカスが新規顧客開拓のために生み出した作品
残念ながら新規には色々と不足していると感じさせた作品であった
DCシリーズのファンにはどう捉えられたのか話を伺いたいところである
個人的に駄目な点は以下の3点
1.主人公が主人公である必要性を感じないこと
2.シナリオ展開が似たり寄ったりな上に、転の部分が全て天(楽園システム)が原因なこと
3.プレイ中にCS化、FD化を考えた作りであることをあちこちで意識させられること
ちなみに筆者は過去にプリパしかプレイしたことがないほぼ新規顧客であるため、
DCシリーズと共有している(と思われる)世界観について理解不足の面があることをご了承いただきたい
○ストーリー
主人公高村敦也(名前変更可)は転校するため常夏の島風南島に降り立つ
ふとしたことから、他人の幸福度(頭上に数値で表示される)が見えるようになってしまった主人公は、
誰も不幸になることがないという楽園で彼はどんな幸せの形を描いていくのだろうか……
○絵
優。非常に良い。枚数も多いし差分も多い
が、強いて気になる点を言うなら、裸立ち絵が用意されてないせいで一部のシーンが立ち絵なしなのと
背景のモブがもやしのように細すぎること
ただ、乳首の位置が少し変なCGがあるという話があるのと、乃絵里添い寝CGで手の位置が気になるものは存在するが
筆者は絵に疎いので他の人がいればお任せしたい
○音
良。音楽、音声共にゲームの雰囲気に合っており良い感じである
ただ、オーバープライスなのであるからモブにも声が欲しいところではある
○システム
可。バグや大幅な誤字脱字等は見当たらず基本的な機能は抑えられているため問題はない
特筆すべき点として、業界的に先進的な取り組みが2点導入されている。が、ゲームの評価としては中立であろう
(1)スマホとデータ共有可
エロゲを外でプレイする需要があるかはさておき、かなり画期的な取り組みだとは思う
ただ外でもプレイしたくなるような出来であることが大前提である……
(2)新品購入者はディスクレス可
新品が売れないとメーカーに金が入らない以上業界維持のためにはある程度妥当な気もするが、
ディスクレスできて良かった!と思われるよりは、楽しめてよかった!と思わせるべきな気もする
また、個人的にはシステム上の不満も2点存在するが、一般的に糞ゲとされるものではない
(1)セーブスロットが使いづらい
サムネがなくコメントも入れられないため後から見たいシーンを探し出せない
おまけから見たいシーンにすぐ飛べ致命的ではないためギリセーフか(ただ通しで読めないデメリットあり)
ルート分岐前にセーブする自分はこんな感じある
(2)名前設定
例のバグはないが、デフォルトの名前でも主人公の名前を呼んでくれない
自分の名前以外呼ばれても興ざめだという人もいるだろうが、萌えゲーにおいては「きみ」とか「にぃ」とか
「輝く者(途中からお主)」呼びのままであるのは賛否の分かれるところであろう
○主人公
不可。ヒロインに応じて性格が変更されたりするものの基本鈍感系であり、いちいち理屈っぽくクドクド悩んで行動が遅いが
何故かヒロインに持ち上げられるというありがちな主人公であるためこれをもってクソなポイントとした訳ではない
ツッコミのセンスは感じられないが
このゲームで問題なのは「困った時どころか一から十まで親友キャラ頼み」という、お前いなくてよくね感である
特に親友キャラは万能で、監視していたかのようにピンチに颯爽と駆けつけ、ストーリー上都合がいいところまで
回答を示し去っていくという展開をほぼ全てのルートで見ることができる
その間、主人公はほぼヒロインと一緒に悩んだり右往左往しているだけの事も多く「親友キャラからの連絡はまだか」と
焦っている姿は悲しみを誘う。親友が介在することはない唯一の見せ場であるエロシーンは……後述する
○ヒロイン
判定保留。島のことに疎い主人公がミスコンに出場させる女の子を選ぶことになってしまい試行錯誤するところまでが共通であるが
共通部分を終えて尖ったヒロインしかいない。選択に困るがここで主要サブと共に紹介しておこう
ひまり 頭上の帽子のような生命体と会話できるヒロイン。それを周囲に独り言と思われており、ほぼ毎日早退して岬にいるぼっちである
依愛 重度の中二病キャラ。ただし主人公の親友キャラとは会話が弾んでいる。お昼は屋上でぼっち飯である
遥月 律儀アピールためのエピソードがアホさアピールになってる生徒会長。当然お昼は会長室でぼっちである
乃絵里 唯一まともそうな従姉妹。だが、ただの従姉妹なのに度を過ぎる妹アピールと「にぃ」呼びをやめてくれない点が懸念材料
天 このAIの行動ルーチンはおかしい(後述)。中に人がいるならば分からなくもないが
大和 親友ポジを超越した何か。ホモやデブ専にされる存在感のない親友ポジが多い世の中、このゲームで一番活躍する人物である
鳴 実妹。本編ではほぼ電話での声しか登場しない。HP上のキャラ紹介で少しは期待した人はご愁傷様である。俺だよ
めです ひまりの頭上にいる生命体の名称。ひまりルートでのみ登場
理事長 遥月の父でもある。遥月ルートのみ登場
天枷博士 天の開発者。島の根幹に関わるすごい教授らしいが……天ルートのみ登場
○シナリオ
不可。主人公の心情描写が多すぎてテキスト量の水増し感が強いが、この業界ではよくある話であろう
前述の通りミスコンに出場させるヒロインを選ぶところまでが共通で、分岐後はヒロインの悩みや問題を解決しつつ……というのが本筋
親友キャラは気持ちが悪くなってくるくらい非常にご都合キャラで、ライターに誘導されている感が強いシナリオである
なお、真ヒロイン(?)の天は他の4人クリア後に攻略可能となる
ひまり もともと人付き合いが苦手だったが、主人公のお願いで出ることになったミスコンで優勝してしまったため、
急に他の男子に絡まれるようになるのに困惑する展開
このルートでは、他のヒロインがズームアウトして忘れられるが、途中めですの存在感すら希薄になりかけ、
いきなりの互いの両親不在アピール後にベッドイン等のイベントぶつ切り感が読んでいて辛いものがある
ヒロインが急に別れを言い出すところが山場であるが、
苦悩するだけの主人公に対し、都合がいい親友が介入したことで、ひまりが幸福の数値を操作できることを推察(!?)し、
園長先生の手紙を読んだひまりが「園長先生とめですが私を捨てるなんてーー」と感情を荒ぶらせる疾風怒濤の展開がユーザーを襲う
もちろん最後にお涙頂戴シーンを入れるためである。エロシーンは2つあるが1度目は未遂で終わるため実質1回である
遥月 去年優勝している生徒会長をプロデュースする展開も、生徒会長室での手伝いばかりが記憶に残るルート
ここでも他のヒロインや他の役員は全然出てこない上に、主人公の心情描写だけでほぼ話が進む省エネ設計である
このルートの一番の問題は、出場のための服を一緒に買いに行ったのになぜか『突発で違うドレスで優勝する』ところであろう
困惑するユーザー達は「描いちゃったCGの都合かな?」と自分を納得させるしかない
クリパ後の山場は、夜にのみ現れる別人格にも思えるヒロインの謎を追うというもの。題材としては興味を惹かれる展開であるが、
このルートでも重要なところ(10年前の事件等)は全て親友キャラが調べてくれるという神シナリオであった。おい主人公
エロシーンは2つあるが1度目はゴム無いので止めておこうと中断するため実質1回である
乃絵里 付き合い始めるまでのイチャイチャは良い感じで高評価できる
ヒロインの悲鳴を聞いて部屋に飛び込む箇所等の主人公のキモい思考を我慢しつつ待ち受けるこのルートの山場は、突然のホラー展開
幼児化して寝込み主人公に依存することになり、自身を妹と誤認したまま3分も離れられなくなってしまうヒロイン
妹の魂に取り憑かれてる?とか、ライターが伝えたかったのは介護問題?とか、イチャからの落差で暗い気分になること請け合いである
原因は「本当の家族になるために妹になる!」という思いの強さによるもの。主人公のせいとはいえ歪みすぎで正直ドン引き
あとエピローグで結婚式ぽいシーンやっておいてCGがなく、空映してるだけとかこの配分には疑問が残る。エロでCG使ってないのに
FD用にウェディングドレスCG回避したとかとかじゃないよね……
このルートでも相変わらず主人公はオロオロしているだけで、ご都合親友キャラが色々と構ってきてくれるので安心して良い
種明かしは天が持っていくが。エロシーンは2つあるが……実質2回である。ヤッタゼ!
依愛 このルートでは主人公のサボり癖は悪化し、ミスコンの演出すら親友ポジに全部お任せする
流行りのアウトソーシングにしても、萌えゲーの主人公としてそれで良いのかと問い詰めたくなる展開である
主人公は衣装少し手伝っただけで演説もほぼヒロインのアドリブだったしお前いなくていいよね
魔王の娘と使い魔という形で付き合うようになった二人だが「私は……書かなきゃいけないの」と謎のセリフと共にキーボードを
叩き続けるヒロインを心配する主人公は突然振られてしまう。そして、ヒロインは謎の昏睡状態に(!?)
相変わらず自発的な原因調査に動こうとしない主人公であるが、親友ポジが序盤活躍しすぎたせいか今度は天に出番が
小説の中に入れる能力で(?)学園システムでリンクして(?)勇者魔界に立つ(?)とかなんだこれは……
原因は父に会いたいという願いを夢で叶えた楽園システムであった。つまり単なるマッチポンプである
他と比較してまだ他のヒロインが出て来るルートだが、依愛が相手してくれない期間限定のため依愛との絡みは全然ない
シナリオ内では、魔族モードと姫モードの切替ギャップ萌えは素質を感じたので、そこにステを振ってもらえれば満足できた可能性が……
エロシーンは2つあるが1度目はマッサージという名のセクハラだけで終了するため実質1回である
さて、ここでお気づきの人もいるかもしれないが、ヒロインに起こる問題は歪であっても願いを叶えようとする楽園システムが原因となっている
魔法世界なら理解できる要素もあるが、ホログラム等の科学面で理屈を説明しようとしてる世界観のはずなのだが……
ここで開放されるのが天ルートである
天 楽園の仮想マスコットであるが、人工知能がご都合主義的……てか結論は単に幼女を出したかっただけ
ライターが上手く料理できないまま萌えゲーの定番を入れようとしてしまったために違和感満載なシナリオとなっている
実体無しと知ってるくせに天然でチョコバナナ勧める主人公とか、チョコバナナに手を伸ばそうとするAIは理解に苦しむ
個別でも会話の中で普通に検索できるネタを天が知らなかったりと人工知能としての機能面もおかしく、
中に誰か入っているのではないか?という疑惑を持ったままプレイしてしまい純粋に楽しめない
また、現実世界で天が盛り上がってしまうとオーバーヒートし再起動のため消えてしまう設定が存在し、
デート中にイチャの良いところで何度も興を削がれ楽しめないことがあるのも非常に残念な部分である
なお、このルートでは天の生みの親が突然登場するため親友ポジに活躍の場はない
人工知能なヒロインが主人公に恋することで楽園システムが不安定になるという山場に対して、
最終的なTRUEはどこかで見たようなオチだが、別離と出会い系エンドで〆たのは失敗ではないだろうか
だってヒロインは人工知能だし。バックアップとかで回復できるでしょと思ってしまう
さて、実体のない中エロはどうするのかと思うところであるが、解決方法は一理あるので評価。エロシーンは……1つなので実質1回である
大和 ノーマルエンドと見せかけた妹顔見せルート。わずか5分程度のために妹の立ち絵用意とか次回作の用意は万全である
大和について言えば、ライターに動かされてる感さえ無ければ有能なキャラであったが、最後まで謎キャラのまま終了する
散々引っ張られた「あのお方」「師匠」呼ばわりしてた人物や非公式新聞部とは何だったのだろうか
○ ゲーム全般
不可。どこを切り取っても続編を見据えた作りである。繰り返しになるが例を挙げる
妹 兄大好きの設定だが個別ルートではライターが思い出した時しか出てこない
にもかかわらず、大和ルートでは立ち絵付きで急遽参上。次回作の予告編を見ている気分になれる
めです ひまりルートですら存在感薄かったが、FDで実体化&美少女化するに違いない。今から楽しry
エロ エロ一回茸と言われないように配慮して乃絵里を除き一回づつ。尺も短くCS化の際は削れば良いだけの仕様である
また着衣エロも存在しない。先輩のドレスとか依愛のコスプレとかあるべきものがない。露骨すぎませんかね……
○まとめ
テーマやプロットは良かったと思われる。幸福度というテーマを上手く扱えれば名作になったであろうし、
エロほぼ一回茸だったとしても、主人公やヒロインの成長が描けていればキャラゲーとして満足できるモノになったであろう
自分としては、最悪イチャラブが充実してるだけで良かった
推測の域を出ないが、ライターの力不足(設定からして色々忘れすぎ。肝の頭上の数値表示すら扱いが適当……)が主原因であるものの、
メーカーが過去の経験に囚われたまま作ってしまったことで失敗してしまった作品に感じた
最初からCSやFDを出す前提で製作するのではなく目の前の仕事に全力投球するところから始めれば良かったのではないだろうか
メーカー自身が居心地の良い楽園から一歩踏み出すことを切に願う次第です
○おまけ
ところで、この選評を書くのに逃避期間挟んで数カ月を掛けているのだが最終的に投稿しようと思ったキッカケが下記のニュースである
本編は上記の通りであるが(ピキピキ)、
(エロやイチャラブが追加されサブが昇格する気がする)FDの情報が11月下旬に公開されるとのことなので、続報が楽しみである;;
「D.S. -Dal Segno-」のファンディスクの制作が決定致しました! 2017年春発売予定! ティザーサイトオープンです♪
詳細を見る ≫2016-10-29
ttp://circus-co.jp/product/dsif/
以上です
お読みいただきありがとうございました
どっちかと言えば、怒りより「素材は良いんだからもうちょっとお客様目線で頑張ってよ……」という思いのほうが強いですかね
FDも出来が良いなら手を出してしまいそうですが、親友無双は勘弁して欲しいし天どうすんの……って終わり方ですが