Princess-Style 選評

目次 概要 選評 コメント

概要

タイトル Princess-Style
ジャンル ノーブル舞台でいちゃラブADV
発売日 2012/3/30
ブランド Meteor
価格 9,240円(税込)

選評

545 名前:プリスタ選評part1[sage] 投稿日:2012/04/25(水) 20:49:06.79 ID:7VJz9+oL0 [3/9]
Meteorと言えば人気シナリオライター・田中ロミオとタッグを組み、難解ではあるものの高い評価を得ているブランドデビュー作
「神樹の館」や、また「Clover Point」で、後の実妹キャラに影響を少なからず与えたと一部で言われる「レッツ背徳」の迷言で
有名なヒロイン「小鳥遊夜々」を世に送り出したブランドである。
Clover Pointのリリース後は惜しまれつつもブランド休止、そして数年を経てシルバーバレット傘下となることで復活を遂げた。
同ブランドのファンはMeteorの復活に小躍りし、Clover Pointと比肩する素晴らしい妹ゲーの発表に胸を躍らせていた。
……が、ブランド復活後2作目の、Clover Pointの後継作と言える「Marguerite Sphere」は「やはりクロポは超えられなかったか
」と言われるなど、いまいち芳しくない結果を残すに留まっていた。
それでも「いつかはクロポを超える作品を!」とブランドのファンは淡い期待を胸に抱いていたのである。

さて、いくらクソゲーと呼ばれる作品でもKOTYへのエントリー選評を書くために検証をしようとする人が出てくるのは当然である
。その方がネタとして楽しめる分、クソゲーを掴んだ溜飲を下げられるだけマシだからだ。
ところが、である。
同時期にスレを賑わせていた「Friends」や「マテリアルブレイブ」などがあったせいかいまいち影の薄かった当作「Princess-Style」。
ある日スレに「Princess-Styleがやばいらしい」という報告があってからスレ住人は「さすが決算期だな、クソゲーまがいのガッ
カリゲーが出よるわ」と比較的生暖かい目で、スルー気味に「んじゃ誰かやってみてよ」と動向を見守っていた。
蓋を開けてみればそれなりに購入者がいる当作であるにもかかわらず、出てくる言葉はと言うと……
「検証を投げた」
「これはひどい」
「エロだけがせめてもの救い」
……何かがおかしい。ガッカリゲーなら早い段階で「ただのがっかりゲーだからエントリー止まりだろ」という発言があるはず。
この中で注目すべきなのは「検証を投げた」という一点。
そしてスレ以外でも「序盤でギブアップした」といった評価が多発、しまいには筆者だけが頼り、と言われる始末である。
溜飲を下げるどころか検証を投げるほど酷い作品とはいったいどのようなものなのだろうか。

"豪華絢爛な舞台で繰り広げられる恋愛物語"
がウリの当作。しかしこういった作品は溢れかえっていてウリにもならない。むしろ雑誌などでは「クロポスタッフの最新作」と
いうのをウリにしていたが。確かにそれは充分にウリになるだろう。
攻略ヒロインはお姫様、運動娘、天然お姉ちゃん、クールな後輩、無口なメイド。妥当なところだろう。
ところがサブキャラクターが大問題。設定自体はこれといって問題はない、が公式HPでキャラ紹介を見てると妙な違和感を覚える
はずだ。
……なんか、ヒロインとサブ連中の立ち絵のクオリティが違う。
凄まじく適当臭がするというか、ヒロインそれぞれがぱっちりとした瞳であるのに対し、サブヒロインは目の描き方が明らかに手
抜きなのだ。
小さかったり離れていたり。男キャラにいたってはいくらなんでもこれはないだろう……と言いたくなるぐらいの適当さ。
それだけならまだいい、彩色すらひどい。超低予算の同人ゲーかと疑いたくなるほどの彩色レベルなのだ。
実際にはサブキャラクターのみ原画家が違い、しかもそれはスタッフロールでしか確認できない。
なお、サブキャラのデザインは名作「家族計画」の原画家で、Meteorの前作である「Marguerite Sphere」のサブキャラ原画を担当
していた「福永ユミ」なのだが……まぁずいぶんと劣化している。
まあ世の中には立ち絵がアレでもシナリオが優れているのはいくらでもある。
また、Meteorと言えば攻略ヒロイン勢には裸立ち絵が使用頻度がどうあれ必ず出てくるが、今作では裸立ち絵もない。
豪華絢爛な舞台、まあ有体に言えば「お金持ち学園モノ」であるわけだが、こういったカテゴリの作品でよく出てくるのが立食パ
ーティーだ。
ここでも立ち絵で問題が発生する――なんと「ドレスがあまりにも安っぽすぎる」のだ。
安っぽそうな生地のドレス……というよりかはむしろパジャマレベル。
肝心のお姫様キャラのドレスも、このカテゴリだと「普通レベルのお嬢様」が着るモノよりワンランク下ぐらいにしか見えない。
少なくとも「立ち絵」という観点だけでも色々と粗が目立つ。
ただし、遠近法が狂ってる背景CGがあっても作品への評価にあまり影響しないのと同様に、これもあくまでもクソゲーとしての評
価にはあまり関係ないだろう。

あらすじはオフィシャルサイトを見ていただきたい。見事にテンプレそのものである。
こういった「支配層との抗争」といえばカタルシスを得られるように山場をいくつも用意して、それを解決していくまでがテンプ
レ……なのだが、その山場があまりにも平坦過ぎて「あそこが山場だったの?」とシーンが進んでから気づくようなものばかりな
のだ。
そしてその平坦な山場も「下校時間を過ぎていたのに後輩と活動していた。だから停学&部活動停止な」とかモンペもびっくりな
難癖レベルのものばかり。
原因は「社交会の招待状を書くのに残っていた後輩を迎えに来た」といったものなどで、主人公たちの迂闊さばかりが如実に浮き
出て「ああ、そりゃしゃーねーな」としか思えない程度なのだ。
いずれにしても主人公たちの迂闊さで、支配層が取るにしてはどうしようもなく低レベルな難癖を支配層に付けられる、というケ
ースしかない。
そして前述の難癖について弁明の機会があるのだが、その際にその難癖を逆手に取ってやり返す、といったカタルシスを得られる
ような知能戦すら誰も思いつかない発想力の不足さが余計プレイヤーにフラストレーションを溜めさせる。
また、その翌日には痴女と見間違うほどの露出度の高いメイド服で部活動をするキャラがいたりと、よりにもよってまた難癖を付
けられる口実を与えていたり(しかしなぜかこの事で難癖は付けられない)と、全員に危機感のかけらもない。
そう、攻略ヒロイン全員が揃いも揃って行動がおかしいのだ。
ぽんこつや天然なら可愛げがあるが、全員が全員「配慮が足りない」のだ。
特に後輩キャラはクール系の優等生で多少頭が回りそうなのに、そういった部分でドジを踏んだりするので萌えるどころかイライ
ラの原因にまでなっている。
しかし、そんな後輩キャラですらまだイライラの原因としてはかわいいものなのだ。
この作品で最もイライラするキャラとは誰か――それは主人公である。

具体的に言うならば箇条書きとなるが

  • 姫を気遣ってやればよかった、とか言っているわりに、姫が番組録画を忘れてスネている時に「あいつなら録画しているだろうけど
    こんなくだらないことで頭を下げるのもな……」といった言動不一致っぷり
  • 交渉しだいでいい方向に向かう事案を「責任」としてひとりで勝手にひっ被る
  • 平凡平凡連呼しすぎてウザい
  • 身分の差を言い訳に敵前逃亡(ただし未遂)
  • 「俺から謙虚さを取ったら~」というセリフが出るが誰がどう見てもただ卑屈なだけにしか見えない
  • 童貞のくせにヒロインのひとりからキスされたというのに一切気にもかけない
  • 選民思想のライバル団体に嫌気が差してこの部活を立ち上げたわりには、ミーハーな連中を完全排除。
    だと言うのに自分自身は「こんなに可愛らしいお姫様と恋人になれたら」とミーハー連中と大差ないことを言い出す

……など、枚挙にいとまがない。
それ以外のキャラも大概で、主人公を全肯定しすぎてキモいレベルに達している姉キャラ、あまりにも影が薄くて「あれいたの?
」と思いたくなる兄がいたかと思ったが√によってはそんなことはなかった運動娘、告って5秒で合体な姫、喋る喋らないの基準が
さっぱり分からないメイド。
サブキャラにしても軍師と呼ばれているわりにはやることがみみっちいライバルキャラ、いる意味がさっぱり分からない友人キャ
ラ、風紀風紀言うわりにはロクに仕事しない風紀委員……etc。
物語を動かすキャラがこれではどうしようもない。

そして何よりもこの作品をひどくしているのはシナリオライターの圧倒的な描写力と知識――不足。
主人公にヒロインが惚れる理由、またその逆がすべてかっ飛ばされ、メイドが喋る喋らないの理由すら全く描写されず、どう見て
もグダグダな挨拶を「威厳のある挨拶」と言わせる、たった2ヶ月で難易度の高い社交ダンスのステップを成功させられるレベルに
なぜか片手間で練習していた程度の主人公がなる、準備過程のほとんどをすっ飛ばして学園祭本番……などなど。
またちょっとした政経の話が出てくるが「日本とさして重要な関係にない小規模国家の通貨危機の話が新聞の一面に載る」といっ
たことや、MBAという言葉を使ってみたかっただけとしか思えない程度のすぐに底が見える知識。
そして各シーンがぶつ切りかつ平坦すぎるので眠気との戦いになり、その各シーンも起承転結のどれかが抜けているというお粗末
さ。
この「起承転結のどれかが抜けている」というのは各シーンどころかシナリオの目的である「支配層との抗争の結果」という「結
」すらさっぱりカットされているのだ……これではカタルシスのかけらもない。
更にはプレイ時間も1キャラあたり3時間程度と、内容もほとんどない始末だ。

更に延期自体もなかなかのもので2011年の年末商戦にターゲットを絞ったかと思えば2月末に延期、そして決算期である3月に発売
……と、決算期に合わせて突貫で作り上げた感が非常に漂っている。
また、作品別スレはあまりの出来に葬式状態で、しまいには「メインライターが逃げて複数ライターになった」説まで出てくる始
末だ。
なお、初回特典に原画のYuyiが歌う曲が入っているCDが付いてくるあくまでもこれは場外の域を超えないだろう。
ちなみに場外としては作品別スレで「お前が選評書けよ」となすり合いがあったのも微笑ましいかもしれない。

選評を書く気力すら奪われ、そしてブランド信者をしても擁護のできないクソゲー。
Meteorというブランドがその名の通り墜落する日もそう遠くないのかもしれない……


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最終更新:2014年08月02日 22:34