愛育村

愛育村(あいいくそん)

世界大百科事典、杉本良夫の記述

恩賜財団母子愛育会が、農・山・漁村における母子の福祉増進をはかるため、実験的に設けた地域組織。1934年に創立され、1971年8月現在、全国に1,200ある。昭和初期の農村恐慌の対策として行われた各種の施策が実情にそわなかったためほとんど成功しなかったのに対して、日本特有の農・山・漁村の実情に即する社会事業的施設として創設されたもの。時代の推移による変遷はあったが、近年、母子衛生、環境衛生を主とした地域組織として、また地域社会福祉の組織化運動の一環として注目されている。愛育村では、まず母親自体の立場から、母子を心身両面から世話しようとする婦人が部落ごとに選ばれ、近隣家庭を分担する班員によって構成される「愛育班」組織をつくり、これを中核として地域全体の母子、さらに全住民の保健、文化の向上、社会的福祉の増進をはかる総合的事業、施設を講ずるのである。なお1958年から厚生省の指導で設けられた「母子健康センター」も愛育班活動の拠点として役だっている。これは保健所からの遠隔地に設置され、保健指導と助産の機能をもつ施設であり、市町村が運営を行う。1971年3月現在、全国に590余ヶ所設置されている。