「か、勝田さん!?」「りなぷー、いつの間に来とったと!?」「ばくわら。前通りかかったら話聞こえちゃったから、えへ。それより道重先生、ハロプロヘッポコ部、私たちも…」「あぁぁぁぁぁぁぁああああああ!ちょっと待ったああああああああ!それ、うちが言うと!先生!うちらもハロプロヘッポコ部やります!やらせてください!」勝田の登場には正直驚いたが、生徒達からそんな台詞が出るかもしれないということは予測していた。予め用意していた答えを冷静に、敢えてゆっくりと話し始める。「そうね。あなた達がそう言い出したくなるのもわからなくはないけど、今の学校の事情じゃ改めて始めるのは無理よ。私たちの頃とは違って、葉廊高校は進学校。部活動よりも進学のためにしっかりと勉強しなさいっていうのが学校の方針。今ある部活動だって余程の成績を納めていないがぎりは存続し続けることは不可能。それはみんなも知ってるでしょ。何をやるのかもわからない部活動を改めて立ち上げなおそうって言っても、誰も納得してくれないわ。それにあなたたち、もう進路は決まったの?周りの子達はもうほとんどが進路を決めて一生懸命頑張ってるわよ。そんな子が何を言っても、大人が話を聞いてくれるかしら。そう思わない?」ぐうの音も出ない。「はい、そういうことでこの話はおしまい。さ、もう遅いから三人共帰りなさい。」文字どおり追い出されるかたちで三人は音楽室を後にした。仕方なく帰路についた三人。いや、いつの間にか勝田はいなくなっていたので二人、生田と飯窪はぽつりぽつりと話し始めた。「楽しそうやねぇ。やりたいっちゃねーハロプロヘッポコ部。」「私もそう思いますけど、道重先生がああ言ってる以上難しいと思います。」「それはそうっちゃけど、何とかならんかねえ。」「そうですねえ。」「ならんかねえ。」「そうですねえ。」結局何の結論も出せぬままその日は別れた。
翌日、昼休み、生田のクラスに、中西、宮崎、植村が大騒ぎでやってきた。何事かと飯窪、工藤も近寄ってくる。「生田さん!聞きましたよ、ハロプロヘッポコ部の事!これはもうヤッタルチャンやないですか!」何だかわからないがとにかくやる気はあるらしい中西。「あー、りなぷーから聞いたと?うーん、やりたいのは山々なんやけどねえ、なかなか難しそうで。」「私も聞きました。とても楽しそう!ぜひやりましょうよ。」珍しく宮崎もノリノリである。「zzzzzzz…。」植村は既に寝ている。「でも道重先生が無理って言ってるけんねえ…。」「ばくわら。」やっぱりいたのか勝田。「道重先生が駄目ならもっと上にヤッタルチャンですよ、生田さん。」「もっと上?」「そう、校長先生にヤッタルチャンです!」「校長先生!?」「そう、みんなでヤッタルチャンすればきっとわかってくれますよ!」中西の大胆なアイディアに驚いたが、なるほどそれも一理あるかもしれない。「いいかもしれません。校長先生は厳しい方ですけど、生徒の話はきちんと聞いてくださる方です。私たちの熱意を見せれば、もしかするともしかするかもしれません。」飯窪も後押しする。「まじめに説得すれば大丈夫っすよ!」勢いだけで工藤も賛同する。「みんなどう思うと?」皆の顔を見わたす。そうやら全員その気らしい。ただ一人幸せそうに寝ている植村を除いてだが。「よし、じゃあ決まりやね。放課後校長室にヤッタルチャンするっちゃ。」←本編B-9 本編B-11→
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