ある城に仲のよい兄弟の剣士がいた。しかし、つまらぬ諍いから引っ込みがつかなくなり、終いには兄弟は決闘までする羽目になってしまった。二人はそれぞれ街一番の鍛冶屋ムールギンに、決闘当日までに決闘剣を鍛え上げるように依頼した。その後も何かと細かい注文をしてくる二人の注文をすべて受け入れ、ムールギンは剣を完成させた。そして決闘当日、人々は驚いた。二人の剣はいずれも刃がない鈍らだったのだ。しかも、それは二人の注文通りに鍛えた結果だった。ムールギンは、その忍耐を称えられ、後にラールガーの聖人に列せられた。
~『コネクト!オン』2011年5月号「ギルドリーヴプレート研究」より