大海蛇の尾に打たれて舵が壊れた商船アスタリシア号。島影ひとつ見えない炎天下の洋上で、ベテランの船員すら自暴自棄に陥る者が増える中、船長よりも冷静な者がひとりいた。コック見習いのアシャだ。彼女は航海士に海流を計算してもらい、三週間耐え抜けば、近くの海岸に流れ着くと知ると、食糧と飲水の残量から逆算。強面の船員が威しても、船長が命じても、決して水瓶の傍を離れず、彼女の決めた配給量を全員に守らせ続けた。かくして自分以外の全船員の命を救ったアシャは、その節制を称えられ、後にリムレーンの聖人に列せられた。
~『コネクト!オン』2011年5月号「ギルドリーヴプレート研究」より