聖女の物語

「聖女の物語」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

聖女の物語」(2018/07/06 (金) 00:56:15) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

― 伝承 ―  今より800年以上も昔、魔法の氏族マギアレボル族と、剣の氏族ソードマウンター族の戦乱が激化した時代。   彼女は幼い頃に[[東森]]で出会った賢者の導きによって、類稀なる神聖魔法の力を習得した。そして長い冒険の旅路の果て、北方の森(現在の[[盾森]])にある聖地で、[[女神アース>アース]]から特別な啓示と聖物を賜ったとされる。(聖物については歴史学者達の間でも諸説云々あり、真相は定かではない)  その啓示とは、両氏族が争いに利用しようとしていた忌まわしき力(悪魔王の召喚や、古代魔法文明時代の大量破壊兵器の使用、等々であり、これも諸説云々である)の使用を阻止するというものであった。彼女の呼び掛けは、人々に希望と混乱を生んだ。彼女の登場に戦乱の終息を期待した者達がいる一方で、彼女は世を惑わす陰謀論者であるとして弾劾する者達がいた。  彼女とその仲間達は、両方の国に対して行動を起こした。どちらの国家にも組みせずに、純粋に忌まわしき力だけを戒めた。悪魔召喚の召喚儀式を未然に止めたり、危険な古代遺物を破壊したり、そういった逸話は枚挙に暇がなく、一時期は英雄物語として脚色され、大陸中に広まったりもした。  しかし、アース教会は彼女を異端視した。彼女を導いた師がクレリックではなく、ソーサラーであった事を異端の根拠として審問官を派遣したのである。彼女は仲間達の制止を振り切って自ら捕縛され、忍耐強い対話による説得を試みた。しかし、審問官の巧みな質問によって彼女は有罪とされた。  当時の神学的教義では、アース神の恩寵(ここで言う恩寵とは、単に魔法の力が与えられ、聖なる能力を発動できる事ではなく、アース神の直接的な運命の導きがあるという事)は人間の身では認知できないとあった。それは女神アースの子である[[アルモニア・ミラ]]の教会教義においては、可能であるとされており、後にアース教会でも改変される事になるが、当時は認知不可というのが教会教義的に正しい解釈であった。  そこで審問官は、彼女に「啓示を受け、神の恩寵があると確信しているか?」という問いを向けた。ここで確信していないと答えれば、確信の無い嘘によって民を煽動した事になり有罪。確信していると答えても教義に反する事となって有罪となる。その質問を予見していた彼女の師である賢者は、「もし私が恩寵を受けていないならば、神がそれを与えて下さい。もし私が恩寵を受けているならば、私をそのままの状態にして下さい。そう答えれば有罪にはできない」と知恵を貸した。  だが彼女は本当に運命が共にある事を確信していた。故に、師の助言に従えば神の恩寵それ自体に対して嘘を吐く事になるからとの理由で「確信しています」と回答した。更に、それはつまり彼女がここで死ぬべき定め、運命である事も判っていた事実を意味する。続く審問官の質問は正にそれを尋ねるものであり、彼女は当然の如く肯定した。こうして、彼女は当時の風習で行われていた竜死刑に処される事となった。  彼女は奉献祭壇の上で拘束されたまま、竜の飛来と刑の執行を待つまでの間、自由に話す権利が与えられていた。彼女は多くの民衆や諸侯を交えた見物人が集まる中で、恐怖の言葉も後悔の言葉も、刑を執行する者達への恨み事すら言わなかった。そして、彼女は悪魔王の出現に対する警告と予言、王国が滅亡する可能性を示唆した。人々は最期の瞬間まで世迷言を言う狂人と嘲笑した。そして、[[灰色の竜>ガン・グルーゴン]]が飛来し、国と竜との間で交わされた契約に従って彼女を食い殺した。    だが直後、彼女に刑を施した灰竜は、天からの轟雷を浴びる事となった。そして、瀕死となった灰竜自らが「この判決は間違っていた。私は聖女を食してしまった。この罪により、私はこの国を去り600年間に及び受難の道を行く。そして再び舞い戻り、1000年間この地を守護すると約束しよう」と告げた。そして彼方へと飛び去って行った。  そして、ラファの死から600年後、彼女の事が歴史から完全に忘れ去られようとした頃。予言の通りに悪魔王が出現し、古ソードマウンター王国は滅びる事となる。だが彼女を食らった竜が約束通りに舞い戻り、とある勇者に力を授けて悪魔王を退けた。滅びた国はグローリエンシルト王国として再建され、その建国から25年後、ラファの死後から625年が経過してから、ひっそりとアース教会で復権裁判が行われた。その判決によって彼女の偉業は認められ、アース教会の列聖に加わった。  現在では聖女ラファとして認知されているが、あくまでもアース教会の偉人であって、彼女が神格にまで昇っていると信じている者は少なく、その信望者とラファの子孫とされる者達が、最初にラファが賢者と出会った東森の近くに[[村>ラファール]]を作って住んでいる。その勢力に対して教会は、ラファ物語の教訓を生かして異端として排斥はしないものの、カルト的集団として懐疑的に扱う者が殆どである。 ― 隠された真実と、謎 ― 彼女を導いた賢者という者は誰だったのか? 彼女が授かった聖物とは何か? 盾森で授かった事から盾ではないかとの見方が最も有力だったが、決定的な証拠が無かった。それが現在、[[エルダーアーカイブス]]であるとの見方が優勢になっている。 更に、その聖物は現在どこにあるのか? これを見つけ出す事はラファの神官は無論、全てのアース神官にとっても最大のクエストであるとされ、最も有力な候補地が[[嘆きの祠]]となっている。 現在の[[女教皇>ファリス=ラ・アンネリクルス]]は、ラファール村に暮らす聖女の子孫は本当に血脈が繋がっている事を認識している。これは神託によって確証を得た事実である。しかし、死ぬまで純潔を守ったとされる聖女ラファに子がいたとは考えられない。どうやって彼女は子孫を残したのか…、 ――――――――――
― 伝承 ―  今より800年以上も昔、魔法の氏族マギアレボル族と、剣の氏族ソードマウンター族の戦乱が激化した時代。   彼女は幼い頃に[[東森]]で出会った賢者の導きによって、類稀なる神聖魔法の力を習得した。そして長い冒険の旅路の果て、北方の森(現在の[[盾森]])にある聖地で、[[女神アース>アース]]から特別な啓示と聖物を賜ったとされる。(聖物については歴史学者達の間でも諸説云々あり、真相は定かではない)  その啓示とは、両氏族が争いに利用しようとしていた忌まわしき力(悪魔王の召喚や、古代魔法文明時代の大量破壊兵器の使用、等々であり、これも諸説云々である)の使用を阻止するというものであった。彼女の呼び掛けは、人々に希望と混乱を生んだ。彼女の登場に戦乱の終息を期待した者達がいる一方で、彼女は世を惑わす陰謀論者であるとして弾劾する者達がいた。  彼女とその仲間達は、両方の国に対して行動を起こした。どちらの国家にも組みせずに、純粋に忌まわしき力だけを戒めた。悪魔召喚の召喚儀式を未然に止めたり、危険な古代遺物を破壊したり、そういった逸話は枚挙に暇がなく、一時期は英雄物語として脚色され、大陸中に広まったりもした。  しかし、アース教会は彼女を異端視した。彼女を導いた師がクレリックではなく、ソーサラーであった事を異端の根拠として審問官を派遣したのである。彼女は仲間達の制止を振り切って自ら捕縛され、忍耐強い対話による説得を試みた。しかし、審問官の巧みな質問によって彼女は有罪とされた。  当時の神学的教義では、アース神の恩寵(ここで言う恩寵とは、単に魔法の力が与えられ、聖なる能力を発動できる事ではなく、アース神の直接的な運命の導きがあるという事)は人間の身では認知できないとあった。それは女神アースの子である[[アルモニア・ミラ]]の教会教義においては、可能であるとされており、後にアース教会でも改変される事になるが、当時は認知不可というのが教会教義的に正しい解釈であった。  そこで審問官は、彼女に「啓示を受け、神の恩寵があると確信しているか?」という問いを向けた。ここで確信していないと答えれば、確信の無い嘘によって民を煽動した事になり有罪。確信していると答えても教義に反する事となって有罪となる。その質問を予見していた彼女の師である賢者は、「もし私が恩寵を受けていないならば、神がそれを与えて下さい。もし私が恩寵を受けているならば、私をそのままの状態にして下さい。そう答えれば有罪にはできない」と知恵を貸した。  だが彼女は本当に運命が共にある事を確信していた。故に、師の助言に従えば神の恩寵それ自体に対して嘘を吐く事になるからとの理由で「確信しています」と回答した。更に、それはつまり彼女がここで死ぬべき定め、運命である事も判っていた事実を意味する。続く審問官の質問は正にそれを尋ねるものであり、彼女は当然の如く肯定した。こうして、彼女は当時の風習で行われていた竜献刑に処される事となった。  彼女は奉献祭壇の上で拘束されたまま、竜の飛来と刑の執行を待つまでの間、自由に話す権利が与えられていた。彼女は多くの民衆や諸侯を交えた見物人が集まる中で、恐怖の言葉も後悔の言葉も、刑を執行する者達への恨み事すら言わなかった。そして、彼女は悪魔王の出現に対する警告と予言、王国が滅亡する可能性を示唆した。人々は最期の瞬間まで世迷言を言う狂人と嘲笑した。そして、[[灰色の竜>ガン・グルーゴン]]が飛来し、国と竜との間で交わされた契約に従って彼女を食い殺した。    だが直後、彼女に刑を施した灰竜は、天からの轟雷を浴びる事となった。そして、瀕死となった灰竜自らが「この判決は間違っていた。私は聖女を食してしまった。この罪により、私はこの国を去り600年間に及び受難の道を行く。そして再び舞い戻り、1000年間この地を守護すると約束しよう」と告げた。そして彼方へと飛び去って行った。  そして、ラファの死から600年後、彼女の事が歴史から完全に忘れ去られようとした頃。予言の通りに悪魔王が出現し、古ソードマウンター王国は滅びる事となる。だが彼女を食らった竜が約束通りに舞い戻り、とある勇者に力を授けて悪魔王を退けた。滅びた国はグローリエンシルト王国として再建され、その建国から25年後、ラファの死後から625年が経過してから、ひっそりとアース教会で復権裁判が行われた。その判決によって彼女の偉業は認められ、アース教会の列聖に加わった。  現在では聖女ラファとして認知されているが、あくまでもアース教会の偉人であって、彼女が神格にまで昇っていると信じている者は少なく、その信望者とラファの子孫とされる者達が、最初にラファが賢者と出会った東森の近くに[[村>ラファール]]を作って住んでいる。その勢力に対して教会は、ラファ物語の教訓を生かして異端として排斥はしないものの、カルト的集団として懐疑的に扱う者が殆どである。 ― 隠された真実と、謎 ― 彼女を導いた賢者という者は誰だったのか? 彼女が授かった聖物とは何か? 盾森で授かった事から盾ではないかとの見方が最も有力だったが、決定的な証拠が無かった。それが現在、[[エルダーアーカイブス]]であるとの見方が優勢になっている。 更に、その聖物は現在どこにあるのか? これを見つけ出す事はラファの神官は無論、全てのアース神官にとっても最大のクエストであるとされ、最も有力な候補地が[[嘆きの祠]]となっている。 現在の[[女教皇>ファリス=ラ・アンネリクルス]]は、ラファール村に暮らす聖女の子孫は本当に血脈が繋がっている事を認識している。これは神託によって確証を得た事実である。しかし、死ぬまで純潔を守ったとされる聖女ラファに子がいたとは考えられない。どうやって彼女は子孫を残したのか…、 ――――――――――

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: