里見 晶

ステータス(評価点数:Lv.700)

  • キャラクター名:里見 晶
  • よみ:さとみ あきら
  • 性別:女性
  • 体型:筋肉質
  • 学年:高等部2年
  • 部活:無所属
  • 委員:文化祭実行委員会
  • 武器:日本刀「無銘(自作)」
  • 初期ステータス
    • 攻撃力:20 防御力:0 体力:3 精神:2 FS(里見無人流剣術):5
    • 移動力:2
  • アビリティ
    • 『普通』

特殊能力『幻眩炎』(発動率:100%)

スタイル:パッシブカウンター
効果:同マスの自分への敵通常攻撃命中率だけを50%以下にする。
範囲+対象:同マス・敵1体
時間:永続

カウンター条件:自分を対象に含む敵からの通常攻撃を受ける(能力による物も含む)
カウンター対象:カウンター条件を満たした敵のみ
待受範囲:同マス
待受時間:永続
待受回数:無限
カウンタータイミング:先手

能力原理
敵の通常攻撃の命中判定が50%以上の時は50%に、50%以下の時はそのままにします。

能力原理

 剣に炎を纏わせる魔人能力。その状態で剣を振れば、炎が巻き起こる。見た目は派手だが、結局斬れば人は死ぬので攻撃力としての意味はまるでない。
 しかし、目眩ましとしては非常に有効であるため、晶は炎に紛れて高速移動することで、苦手な回避を補っている。
 大した火力ではないが、火種としては使えるので、野外ですぐに火を起こせる能力として、飯ごう炊飯やバーベキュー等で活躍する。

キャラクター説明

 艶のある黒髪ショートカット。身長は高く、全体的に細身なモデル体型だが、非常に筋肉質。目鼻立ちはくっきりしておりクールな印象だが、楽しいときは顔をくしゃくしゃにして笑う。戦いの際は、祖父から譲り受けた、袖が肩からびりびりに破れた剣道着と袴を身にまとう。ポロリ防止のため、学校指定の体操着である半袖Tシャツとハーフパンツを中に着ている。
 里見無人流剣術継承者である里見権蔵の孫娘。門下生ではないが、物心付いた時から権蔵が遊びで嫌がらせに近い剣術修行をさせていたため、身体能力は高い。
 人と争うことは好まないが、自分が正しいと信じることは戦ってでも貫き通そうとする。他人を殺すためだけの技術が身に付いているという事実に怯える反面、同時に真剣という「人を殺す手段」を持つことで安心感を得ている部分もある。
 権蔵からは「剣術は効率化された殺人の方法」という教えを受けており、それが身についている。小学生時代に、些細ないさかいから思わず友人の眼を抉りぬいてしまい、それ以来他人を傷つけないように、人となるべく関わらないようにする暗い性格だったが、ある出会いをきっかけに「正義のために剣を振るう」ようになり、笑顔と明るさも徐々に取り戻した。
 ちゃんとした指導を受けているわけではないので、剣術家としては大した腕前ではない。しかし、天性の当て勘があり、体幹の強さに裏打ちされた太刀筋は一級品。反面、相手の太刀筋を読む能力に欠けているため見切りが苦手な上あまり体力もないので、長期戦は向いていない

エピソード

 夜が迫る音が、聞こえる。
 薄暗くなる妃芽菌学園の校舎裏、屋台が次々と店じまいをしている姿を横目に、小さな空地で日本刀を正眼に構え、精神統一をする少女。切れ長の目を閉じ、静かに深い呼吸をしている。細身の体には若干大きい、袖がびりびりに破れた男性用剣道着を身にまとい、体幹に一切のブレなく、ただ静かに、凛と立つ。
 里見晶は、今日のこの日のために鍛え上げた刀を、確かめるかのように握りこむ。不安がないわけではない。だが、慣れ親しんだ真剣の重みは、不思議と心を落ち着かせた。
「晶!」
 まばらなざわめきを切り裂いて、その声は晶の耳に届いた。目を開けると、全力で走ってきたのだろう、息を切らせて厳しい目をする、長い黒髪が印象的な少女、文化祭実行委員会会長である藤堂美咲が立っていた。
「お願い。行かないで」
 美咲は、手を震わせながら言う。その言葉が何を意味するのか、言った本人が一番分かっているはずだ。それでも、行くなと言ってくれる。
 この人のためなら、ボクはいくらでも戦える。
 晶は、ニッと口の端を上げた。
「平気ですよー。ボク、とーっても強いんですからー」
 大きく眼を見開く美咲に背を向け、何の躊躇もなく、確かな足取りをもって、妃芽菌学園文化祭のクライマックス、フォークダンスの舞台である校庭へと歩みを進めた。


 晶の祖父里見権蔵は、知る人ぞ知る殺人剣術、里見無人流剣術の継承者だ。晶は、物心ついたときから、祖父権蔵から、一歩間違えば死ぬかもしれないほどの、剣術修行を受けていた。
 権蔵は、悪鬼のように強く横暴で、晶の両親は権蔵に対して無力だった。晶は剣術には興味なかったが、権蔵からは何度逃げても逃げきれず、諦めていやいやながらも剣術修行をしている内に、晶はメキメキ実力をつけた。
 晶が小学校入学してすぐのある日、大好きだった友達と、些細なことでケンカをした。晶は、思わず友達の片目を抉った。自分が大変なことをしたと気づいたのは、友達の絶叫が耳に入った時だ。
 権蔵は晶をほめたが、晶は自分を責め続けた。自分の身体に染み込んだ殺人技術は、たやすく人を傷つける。それからずっと、晶は他人を遠ざけ、下を向いた。それでも、晶の意思とは無関係に、殺人剣の技術は鍛え上げられ続けた。
 晶が妃芽菌学園高等部に編入してきたとき、初めに勧誘してきたのは、妃芽菌学園剣道部だった。しかし、武道系の部活に入る気など全くなかった晶は、あっさり勧誘を断った。剣道部としては、当然面白くない。
 晶への、陰湿な嫌がらせが始まったが、晶は殊更に事を荒立てず、これといった抵抗はしなかった。それがかえって剣道部の怒りを買い、嫌がらせはとどまることなくエスカレートしていった。
 4月頃、剣道部のゴリラ感溢れる先輩2人が、無抵抗な晶をタコ殴りにするため校舎裏に引き込んだ。晶は当然嫌がったが、本気で抵抗はしなかった。殺してしまうかもしれないという恐れがあったし、なによりそこまでして守るべきものが自分にあるのかという疑問もあった。
 誰とも関わらず、ただ修業を続けていた晶の心は、確実に摩耗していた。もう、何もかもどうでもいいと思った。ボクごとき、いくらでも傷つければいい。殺したければ、殺せばいい。どうせ、ボクが死んだって、殺人者が一人この世から減るだけなんだから。
「あなたたち、なにしてるの!」
 そのとき、声を荒げて現れたのが美咲だった。美咲は、晶の手を強引にとり、その場を立ち去ろうとした。当然、ゴリラ先輩が見逃すはずはない。ゴリラ先輩がにやけ面を浮かべながら美咲の肩を掴んだ瞬間、美咲はとっさに晶の手を離し、フックでゴリラの顎を打ち抜いた。
 ゴリラとの乱闘が始まる。美咲も決して強いとは言えない。傷つきながら、殴られながら、それでも倒れず拳を振るう。
 晶の力をもってすれば、ゴリラ2人程度、雑魚だ。ザゴリだ。1分もかからず打ち倒せるだろう。しかし、晶は動けなかった。自分が人を傷つけ、殺してしまうかもしれない。それが恐ろしくて、ただしゃがみこんで涙を流すことしかできなかった。
 しばらくの後、自分の手で目を覆う晶の頭を、ポンポンと撫でる感触がした。
「怖かったわね。もう大丈夫よ」
 顔を上げると、制服がぼろぼろになり、生傷だらけの美咲が、笑顔で晶を見下ろしていた。美咲の背後には、2匹のゴリラが倒れ、蠢いていた。晶の眼に、また涙があふれた。
「ごめんなさい……。ごめんなさい……!」
 何度も謝る晶を、美咲は抱きしめ、あやすように頭をなでてくれた。
「力なき正義は無能なり。正義なき力は無能なり。私は、自分が正しいと思ったことをしただけよ」
 だから泣かないで、と微笑む美咲の姿は、曇った晶の心を晴らす、一筋の光となった。

 それから、晶は美咲にくっついて回った。昼食の度に3年の教室を訪れる晶を、美咲は快く迎えてくれた。美咲が文化祭実行委員長だからという単純な理由で、晶も文化祭実行委員になった。
 まっすぐで、優しくて、時々間が抜けている美咲と過ごす日々は、晶の宝物になった。武道の精神を教えてもらった。正しさを教えてもらった。慈しみの心を教えてもらった。笑顔を思い出させてもらった。今の晶を形作る、ほとんどのものを美咲が与えてくれた。
 美咲も晶を守るためになるべく世話を焼いていたが、一向に剣道部からの嫌がらせは収まらず、業を煮やした美咲は、晶への嫌がらせをやめるよう剣道部部長に直談判した。しかし、それが仇となった。美咲が文化祭実行委員長としての権力を使い剣道部に圧力をかけた、と捉えられたのだ。
 剣道部部長は後日、美咲の目の前で晶に謝罪をした。そして和解の場として、文化祭メインイベントのフォークダンス会場で、晶と剣道部による公開演武を提案した。
 文化祭実行委員長である美咲が出てきたことで、剣道部員は文化祭実行委員会に対して不信感を持っている。剣道部と文化祭実行委員会との関係を強くした上で、晶は文化祭実行委員の人間だから手を出すなという形にした方が、部員に納得をさせやすい。これが、剣道部部長の言だった。
 文化祭は毎年、フィナーレでフォークダンスを行う。剣道部は、その舞台である校庭で真剣による演武をした後に、次期部長がやぐらへの着火をするのが伝統だ。今年はその伝統を崩し、剣道部と文化祭実行委員会との友情の証として、文化祭実行委員である晶に着火を任せると言い出したのだ。
 根が熱血肌で人間が甘い美咲は、剣道部部長が心底晶のためを思って申し出てくれているのだと思い、この申し出を嬉々として受け入れた。晶も、これまでの自らの態度に反省すべき部分があることを謝罪し、剣道部からの申し出に応えた。
 文化祭実行委員長として、いくつもの仕事に追われていた美咲が、晶と剣道部の演武に一切の打ち合わせがなかったことを知ったのは、演武直前のことだった。
 剣道部は、演武の名を借りた実戦を公衆の面前で行い、晶を再起不能にするつもりだったのだ。晶がぼろぼろに倒れれば、文化祭実行委員会を敵に回すが、剣道部の威光を示すことができる。晶が逃げれば、文化祭実行委員会は剣道部との友情を裏切ったということで、美咲のメンツを潰すことができる。これは、晶と美咲を陥れるための、剣道部長の策略だったのだ。
 しかし、公開演武の打診があった時から、晶は闘う覚悟を決めていた。剣道部は、確実にボクを潰しに来るだろう。決して、たやすい戦いではないはずだ。
だが、ボクが任された、文化祭のラストを盛り上げる仕事だ。美咲のために。美咲と共に築き上げた文化祭を守るために。
 絶対に、やり遂げて見せる。
 晶は、生まれて初めて、自らの意思で闘う道を選んだ。

 校舎屋上からのスポットライトに照らされる校庭の真ん中に立ち、またも目を閉じて精神統一をする晶。その目の前には、1メートルほどの高さの、まだ火がつけられていない、薪が格子状に組まれたやぐらが鎮座している。
 そして、晶とやぐらを囲むように5名ほどのゴリラによく似た剣道部員たちが、殺気を込めた目で真剣を構える。それをさらに遠巻きに囲み、妃芽菌学園の女生徒達が、殺陣の始まりを今か今かと待っていた。
 晶は、周囲を取り囲む剣道部の一挙一動に、全神経を集中させる。演武開始の合図はもう出ている。しかし、誰もが動かない。時間が凍り付いたかのような静寂。
 それを切り裂いたのは、剣道部でも5指に入る使い手、ゴリラ感溢れる語莉羅ゴリラ(ごりら ごりら)がドラミングとともに放った雄叫びだった。
「ウホホォォォーッ!(ここで、貴様はおしまいだぜぇーっ!)」
 ゴリラは、刀を右手に携えたかと思うとすぐさま後ろに放り投げ、猛ダッシュで肩から突っ込んできた。剣道部奥義、ショルダータックル。このタックルを躱せるものなど、この学園にも指を数えるほどしかいない。
 晶が目を見開き、猛烈な速度で迫るゴリラに向き直る。すると同時に、晶が手に持つ刀から、1メートルほどの巨大な炎が立ち上った。そのまま刀を自身の前で風車のように振り回すと、炎は勢いよく巻き上がり、晶の姿をすっぽりと覆い隠す。
「ウホゥ!?」
 ゴリラは一瞬怯んだが、それを押し殺すかのようにがむしゃらに、揺れる炎の先にいるはずの晶に向かって、そのままの勢いで突っ込んだ。
 炎は少し宙を漂うとすぐに消えるため、見た目ほどの熱さはない。ゴリラが、四散した炎を突き抜けるも、肉を砕く感触はなかった。晶は既に、その場にはいなかったのだ。
「WUHOOOO!(どこだあああ!)」
 ゴリラが晶の姿を追おうと視線をずらした次の瞬間、ゴリラは首筋にヒヤリとした感触を覚えた。巻き上がる炎に紛れて、真横に回り込んだ晶が、ゴリラの首に静かに刃を沿わせたのだ。ゴリラは、苦々しい顔で膝を付いた。
「ウホオオオ!!」
「ウキィィーッ!」
「ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ」
 続けざまに、晶の周囲を囲む剣道部員が、一斉に気勢と共に刀を振りかぶりながら、晶に向かって走り込んできた。いずれ劣らぬゴリライズムの継承者たちだ。晶は、またすぐに刀から炎を立ち上げ、火炎襖の中に消える。
 ゴリラっぽい方々は、晶に向かって刀を構え、放り投げ、殴り、噛みつく。それらの攻撃を、晶は炎に紛れながら次々と躱し、次の瞬間には寸止めを放ち、無力化する。
 火の粉が舞い散る中、流麗かつ無駄のない動きで刀を振るう晶の姿は、さながら炎の扇を広げながら舞う猛獣使いのよう。ギャラリーは息を飲むことすら忘れ、晶の舞に目を奪われた。
 剣道部員最後のゴリラに横一文字を放ち、全員が地に座したところで、晶はやぐらに向き直った。
 スポットライトが消え、辺りが闇に包まれる。晶は刀に炎を纏わせ、体の前で8の字に振り回す。その軌跡が光り輝く蝶を描き、晶とやぐらを橙色に照らしたその時、
「ハイイィィーッ!」
 晶が気勢を発し、全開まで炎を纏わせた刀を、渾身の突きでやぐらに差し込んだ。
 ボッ、とやぐらの中心に置かれた発火材への着火音が響いた数瞬の後、勢いよく火柱が立ち上る。辺りからは、拍手と共に歓声が巻き起こった。
 晶はほっと一息をつき、周囲に何度もペコペコと頭を下げたあと、座している剣道部員達に手を貸して立ち上がらせ、全員でまた一度お辞儀をした。「ウホゥ……」と情けない鳴き声が静かに響いた。
 こうして、妃芽菌学園文化祭のメインイベント、フォークダンスが始まった。

 「晶。怪我はない?」
 美咲が、校庭から校舎に続く階段に座り、スポーツドリンクを喉に流し込みながらフォークダンスの輪を見つめる晶に声をかけた。
 橙色に照らされる物憂げな晶の横顔は、どこか人を寄せ付けないような雰囲気を漂わせていた。しかし、声をかけられた瞬間顔をくしゃくしゃにして笑い、年相応というにはどこか幼さを感じさせる表情を見せる。
「心配してくれてありがとうございますー! いやぁー、すーっごいドキドキしましたよー、もー!」
 ジタバタと足を踏み鳴らす晶。こうして話していると、ただの明るい女の子、という印象だ。先程までの達人然とした姿からは想像もできない挙動に、重い顔をしていた美咲が、思わず微笑した。
「あなた、あんなに強かったのね。驚いたわ」
「いやいやー、そんなことないですよー」
 晶は、まんざらでもなさそうな様子で頭をかき、またスポーツドリンクを口に運ぶ。美咲はゆっくりと晶の横に腰を下ろし、晶の乱れた髪に右手を差し込み、撫でるように梳かした。晶は気持ちよさそうに目を細める。
「ごめんね」
 美咲は、晶の汗で濡れた髪の毛を見つめる。渦巻く自己嫌悪で、顔を見ることができなかった。
 先輩風を吹かせて晶を助けようとしたのに、窮地に陥らせてしまう結果となった。しかもそのことに、直前まで気が付かなかった。間抜けにもほどがある。謝っても、謝りようがない。
 晶は、いい子だ。心で何を思っていても、きっと美咲を責めるようなことは言わないだろう。それがまた、美咲の気持ちを重くさせた。
 私は、この子の助けになれなかった。
「正義なき力は無能なり。力なき正義は無能なり」
 晶が、美咲に向き直り、まっすぐに目を合わせた。それは、美咲が何よりも好きな言葉だ。
「先輩が教えてくれたんですよ。剣術は人を殺すものとしか思っていなかった、ボクに」
 晶は、美咲の手を取り、胸元に引き寄せる。
「だからボクは、自分の正義を通すために、戦いました。こんなボクの手でも、人を殺すための剣術を使って、人を殺さない剣を振ることが出来ました。全部先輩のおかげなんです」
 晶の弾むような声に、美咲は息を飲んで俯いた。視界が歪み、地面にぽたぽたと水滴が滴ったことに気付く。晶の手を、無意識にぎゅっと握り返した。こんなぐちゃぐちゃな顔、とても見せられない。
 晶は、校庭の炎に視線を戻した。他人を傷つけるための魔人能力が灯したこの炎が、遠ざけていた他人を笑顔にしている。それが、とても誇らしかった。
「ボク、すーっごくうれしいですー! ほんとうに、ありがとうございますー!」
 声を殺して泣く美咲の顔を見ないようにして、晶は美咲の頭を優しく撫でる。
 か細い声の「ありがとう」が、フォークダンスの雑踏に消えた。


 これは、里見晶が高校一年生の時の話だ。晶の想いは、このときから変わらない。
 正義なき力は無能なり。力なき正義は無能なり。この言葉は、今も晶の胸に深く突き刺さっている。
 だから、晶は真剣を手放さない。いざというときに、大事な何かを守ることができるように。
 だが晶は、「いざというとき」がいつなのかも、「大事な何か」が何なのかもわかっていないことにも気づいていなかった。
 自身が刀を持ち続けることは、人を傷つけることも自分が傷つくことも選べない、ただの弱さの現れだということにも、気づいていなかったのだ。



最終更新:2015年08月03日 18:12