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ステータス(評価点数:Lv.700)
特殊能力『アルティメットタイガーパンチ』(発動率:80%)
効果1: ステータス入れ替え 攻撃⇔FS
範囲+対象:自分自身 時間:1ターン
効果2:味方通常攻撃強制試行(自傷不可能)
範囲+対象:自分自身 時間:1ターン
消費制約:なし
詳細な説明
FSと攻撃を入れ替えて動作の通常攻撃をします。
能力原理
愛を込めた全力パンチ
必殺技『真・幻影虎陣形』 (消費MP:3)
効 果 :
必殺技原理
虎覆面から溢れる愛の力により自身の幻影分身を複数生み出し、陣形を組んで一斉に襲い掛かる。
生み出せる分身の数は愛の量に比例する。 オリジナル必殺技の筈だが、何が「真」なのかは本人もよく分かってない。 キャラクター説明
本名:紅井影虎(あかい えいこ)。ダンゲロスSS4で登場したあの娘(http://www60.atwiki.jp/dangerousss4/pages/201.html)とは並行世界の別人。
この世界では紅井寅忍はとある事情で彼女が小さい頃に滅亡しており、寅の里は劇場の地下深くに沈んでいる。
美鳥との関係は主従的なものは一応あるものの寅忍が既に滅んでいる影響からか、この世界では仲の良い姉妹、親友といった感じ。
また彼女の性格も過酷な修行から解放されたことから別世界よりはやや明るいものの色々残念なことになっている。 特に美的感覚や芸術的センスが一般から色々ずれており、逆に感性が鋭い美鳥を色々困らせている。
高校生になり、美鳥は妃芽薗学園に、影虎は希望崎学園に進むことになり、二人の距離は離れたものの、特に大きく関係が変わることもなく仲良く平和な日々を過ごしていたが、ある時、影虎が彼女の異様な感性に目を付けた悪の教団「虎十字団」による襲撃を受ける。
「虎十字団」の一員となるべく、その刺客による洗脳攻撃を受けた影虎だったが、彼女は10億人に一人と言われる虎十字団の教義に対する耐性を持つ人間だったのだ。 「虎十字団」の刺客への反撃に出る影虎。しかし寅忍の修行から離れて久しい彼女の戦闘力は落ちていた。影虎ピンチ! その時、彼女の窮地を謎の虎のおじさんが颯爽と救い、彼女へ身体能力を大幅に強化する虎覆面を授ける。 虎覆面は彼女の持つ愛が大きくなればなる程その力を増すのだ。
「虎十字団」第一の刺客を退け、希望崎学園を救った彼女だったが、刺客の口から彼らの次の狙いが妃芽薗学園にあることを知る。
そして彼女は虎の仮面とその貧相なボディに似合わないスーツを纏う正義のヒーロー「タイガービーナス」となり、美鳥と学園の平和を守るために今日も闘うのだ!
クソ漫画、クソ映画、クソアニメ等、ありとあらゆるダメな創作作品に対して発生する負の感情を糧とし、世界をクソ作品で支配せんと目論む邪教集団。
その構成員も創作作品による影響によって精神を汚染された連中で占められており、世界から美しいものを排除せんと日々活動している。 エピソード
「素晴らしい! この全く無駄で何もワクワクしない続編を感じさせるオチ……! もちろん十年経った今も続編なんて現れる気配もない!」
「……頭痛が止まりませんわ」
TV画面が切り替わり、その後様々な映画の予告編の映像を流し始めた。
しかし少女達の興味は既にそちらに無く、今まで鑑賞していた
「何を頭を抱えているの、美鳥! 創意工夫に溢れた素晴らしい映画だったじゃない!」
「どこがですか! なんで大自然の中で育った純粋で力強い少年だった主人公がハイスクールの気弱な学生になってるんです! 世界的に有名な必殺技がなんで火を消したり、心臓を動かすために使われたりするんです! ○め○め波である必然性が無いでしょう! 突っ込みどころを探せばキリがありません!」 「そこがこの映画のポイントじゃない! 偉大な原作に縛られない奔放な展開こそが……」 「何の敬意もなくやりたいことやってるだけのものを雄弁な言葉で語らないで! 偉大な原作を使っているからこそ守らねばならない物があります!」 「誰かに縛られたルール、そんなもん必要ない……」 「あります!」
二人の会話はいつものように全く噛みあわない。
片方の少女、美鳥は映画を見終わった後より更に深く深く頭を抱えて沈んでしまう。
彼女が話している少女、影虎は美鳥にとっては今や姉妹同然の間柄である。
美鳥の血筋である紅井家は魔人の名家でおり、それなりの財力、権力を持っている。 影虎はその一人娘である美鳥の護衛役となるべく、幼い頃から過酷な環境の中で育てられてきたのだが、様々な事情が重なり、今では美鳥と共に普通の生活をしている。 それは美鳥にとって大変喜ばしいことであったが、影虎との関係において、今彼女が大いに困っていることがあった。
影虎は育ちが特殊であるせいか、感性が人とずれまくっているところがある。
例えば味覚であれば非常に刺激の強い物を好み、タバスコや唐辛子をドバドバかけたり、美鳥がとても食べられない超激辛四川麻婆を好んで食べたりする。聴覚であれば、破壊的、殺人的なミュージックを好んで聴き、美鳥にはとても理解できないような荒々しい歌詞の歌を絶唱したりしている。 芸術的感性、とりわけ"美"というものに対する感覚が美鳥とはかけ離れているのだ。 逆に美鳥は一般的な意味での美的感覚が非常に優れており、現代人なら多くの人が好むものを通常に愛する。
「うう……これなら絶対美鳥に喜んでもらえると思ったのに……」
レコーダーからディスクを取り出し、片づけを始めた影虎の姿はしゅん、としているように見える。
決して悪気があってやっているわけではないことを美鳥は分かっていたが、それはそれとして定期的に(美鳥の感性にとって)この世のものとは思えない、おぞましいものを見せられることには流石に参っていた。 最も酷い時には作品を見せられた後、三日三晩寝込んでしまったこともある。自衛本能が働いたのか、その作品の記憶は美鳥にはないが……。
「とにかく! もう変な……じゃなくて影虎の好きな作品を無理に持ってくる必要はありません! もっと色々別な事をして遊びましょう」
「う……、でも今は会える機会が少ないし、たまに会える時こそ私はできる限りのことを……」 「影虎……」
美鳥は影虎の手を握り、じっと目を見据えて話す。
こうなると、もう影虎は何も言えない。
「もう、そんなに無理をする必要は無いのです。私はそれよりも最近の影虎のことが知りたいです。ほら、最近の学校でのこととか。希望崎学園ってどんなところなんです?」
「う、うん……そうね。そういえばこの前……」
先ほどまでの重苦しい空気はどこへやら。部屋の中に少女たちの明るい笑い声が響いた。
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少女達が和やかに談義をする学生寮から少し離れた、とある小川の上。
一人の男が月光の中、上半身裸の状態で木刀を振り上げていた。
「待ち人、来る……」
男は木刀をそのまま小川へ向けて勢いよく振り下ろす。
まるで小川を真っ二つに割らんかのような猛烈な水飛沫が上がった。
「起きたか、紅井」
男は寮を見上げ、不敵な笑みを浮かべた
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「うう……結局ごまかされた気がする」
妃芽薗学年の学生寮を出て、影虎は夜道の中、一人歩いていた。
あれからどめどなく話は続いたが、流石に時間が深夜に達し、美鳥も就寝しなければならなくなったため、影虎はこっそりと寮を抜け出したのである。
影虎は自分にかけた眼鏡に指をあてる。
視力が急激に落ちたのはいつの頃だったろうか。寅流としての訓練がなくなってからの日々は美鳥とゲームしたり、漫画やアニメなど色んな作品を一緒に見るようになってばかりしてもう随分と立つ。 本当に楽しい日々であるが、心から楽しい、面白い、と想うものを共有できたことがまだない気がする。それが影虎の最大の悩みであった。
更に今や高校生となって距離も離れた。美鳥は高校生になって、名門の妃芽薗学園に行くことになったが、自分はこともあろうにその編入試験に落ちてしまったのである。
もっとも、かつて得た技術によってこうしてこっそりと学生寮に忍び込んで美鳥と遊んだりはしている。だが、それも最近は随分難しくなったような気がする。学園の警備が厳しくなっているのもあるが、それよりも自分の力が大きく落ちている気がする。果たして次回も無事に忍び込めるのだろうか。 妃芽薗学園にもよくない噂を最近は耳にする。それはそれとして一人寮で暮らす美鳥に変な虫がつかないかも心配だ。 様々な不安や心配事が影虎の中を駆け巡るが……。
「まあ、いっか」
あまり悩んでも仕方ない。美鳥が笑顔でいればそれでいいだろう。
帰ってネットサーフィンでもしながら、次に美鳥に見せる作品を探そうか、と思った時であった。 顔を上げると、一人の男が目の前にいた。
「寅流、紅井影虎……」
男は木刀を右手に持ち、ゆっくりとこちらへ歩み寄ってくる。
どう見ても変質者である。
「一つ私と手合せ願いたい。心も凍る月夜の晩だ」
影虎は迷わず懐に忍ばせたクナイを男めがけて投げ放った。
だが、男は素早く木刀を振り払ってクナイを薙ぎ払い、更に空高く飛び上がって影虎へ向かってくる。
「くっ……!」
影虎の思考が戦闘用に切り替わる。
この変質者は何者か。寅流の名を知っているということはただの通りすがりではない。
「貴方は何者!?」
男の木刀を後方へ跳躍して躱わし、更にクナイを投げつけながら、影虎は問いかける。
「虎十字団……サイクロン」
男は、今度は棒立ちのままクナイを左手で掴んで止めた。
(私のクナイが通じない!? ……いや)
影虎が戸惑う間もなく。
男は一瞬で影虎の目の前へ迫り、その胸に突きを見舞った。 影虎の体が飛び、地面へと打ち付けられた。
(やっぱり私の力が……大きく落ちている……)
目の前の男は相当に強い。
だが、以前の自分ならばこんなにあっさりとやられることは無かった。 年月と、美鳥と過ごした日々が自分から奪っていった力を影虎は実感する。
「紅井影虎、もう余計なことを考えることは無い」
影虎の心を知ってか知らずか、男が歩みながら、影虎へ穏やかに声をかける。
「お前に纏わりついているものはもうすぐ全て洗い流されることになる。『塩の魔』によって」
男は木刀を影虎の目の前へ突き出す。その切っ先から妖しく白い光が放たれた。
「さあ、
影虎の全身が眩く輝く『嵐』に包まれた。
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「なによこれ……面白いじゃない!」
それからどれだけの時間が経ったか。
一瞬だったのか、それとも数時間だったのか。影虎には分からない。だが、その顔はとても輝いていた。今まで彼女が脳内で見てきたその『作品』によって。
「な……、お、お、面白いだと!!?」
サイクロンと名乗った男の顔が大きく歪む。
男のかけていたサングラスが大きくずれ、驚きに見開かれた目が覗かれた。
「ええ、こんな……こんな訳の分からない作品初めて!! なんなのこれ、見れば見るほどわけが分からなくて、とっても惹きこまれる!キャラクターもとっても魅力的で!」
「ば、馬鹿なことを言うな! その訳の分からなさこそがこの作品の悪夢だ! 人は皆、この作品を読めばずっとこの作品の謎に心を支配される。そしてこの作品の解釈のみに全ての脳神経を捧ぐのだ! それこそが『塩の魔』!!」
「馬鹿なことを言わないで! こんな素晴らしい作品を『魔』だなんて! ……はっ! ねえ、この作品はどこにあるの!? 是非美鳥に見せないと!」
「ふざけるな!『塩の魔』に染まってない身で聖典に触れるなど!」
サイクロンは再び木刀を構えなおす。
「こうなれば今度こそ脳髄から直接『塩の魔』を叩き込んでくれる!」
サイクロンが突進してくる。
影虎は飛び上がって何とか躱すが、態勢は良くない。ひとまず走って逃げる。
(くっ、色々あったけど、形勢は変わったわけではないか……。今の私ではあの男は倒せない。どうすれば――)
逡巡する影虎の脳裏に美鳥の顔が浮かぶ。
(ここで倒されるわけにはいかない! あんな素晴らしい作品がまだ世界にはあるんだもの! 何とかして美鳥に伝えないと!)
影虎は意を決する。
(こうなったら私の力を全て見せる! 虎の……虎の力を!)
迫りくるサイクロンへ向かう覚悟を固めた時、突如、甲高い咆哮が影虎の耳に届いた!
「ガウガウガオガオガーオ!(そうだ、それだよ影虎!)」
その叫びと同時に影虎の元へ何かが飛んできた。
(これは……虎語?)
叫びを耳にした影虎はその物体を手に取る。
それは覆面であった。 色はピンク、しかし覆面の表情は雄々しい野生の虎そのもの。
(まさか……これは伝説に残る寅流のマスク!?)
その時、サイクロンは既に目の前に迫っていた。
「うおぉおおぉおおっっ」
サイクロンの木刀が突き出される。
(迷っている暇は……ない!)
影虎は覆面を被る。その時影虎の全身がスパークする!
影虎の制服がはじけ飛び、瞬く間にコスチュームがチェンジする!
「何の真似か知らんが無駄だぁぁーー!!」
サイクロンは構わず突貫してくる。
だが既にそこに影虎の姿はなかった。
「なっ……!」
影虎を見失ったサイクロンがきょろきょろと左右を向く。
だが。
「こっちよ」
声は後方から響く。
影虎は稲妻のような速さでサイクロンの後ろに回っていた。
「お、お前は……」
影虎の姿はすっかりと変わっていた。
顔にはピンクの虎覆面! その服装は黒とピンクが混ざった野性味と可愛さが混ざったちょっぴりと露出度が高い可憐な虎スーツ! ああ、しかし影虎の貧相な体ではあまり似合ってない!
「ふ、覆面にヒーロー風スーツだと……!? その姿、まさか伝説のジェッターキン……」
「お喋りの時間はもう必要ない」
影虎は、手元で素早く印を結びつつ、サイクロンへと駆け出す!
そして力強く言葉を発する。
「真・幻影虎陣形!!」
影虎は数十人もの幻影に分裂し、サイクロンに無数の連打を浴びせた。
「イ……インスタントヒー……でもある……のか」
サイクロンは体に無数の痣を作って倒れた。
「間違いない、今のは寅流の失われた奥義……」
それを繰り出したことは影虎にとって偶然だった。
だが、不思議と今の自分ならできるという確信があった。
(けどなんで『真』って言ったんだろう、私。あんまりアレンジを加えた覚えはないんだけど……)
(まあ、それはともかく)
(この覆面をつけていると全身に力が湧いてくる。かつてと同じ……いえそれ以上の力が。これが覆面の力? いえ、それだけじゃない、これは……)
ふと、影虎の脳裏に美鳥の笑顔が浮かぶ。
(美鳥……? 何故美鳥が?)
その時、サイクロンが起き上がり、サングラスを握りつぶしながら影虎を睨んできた。
「くそ……まだだ俺は負けねえ」
「よしなさい、もう貴方に勝ち目はない」
「クク……これで勝った気か? 塩十字……いや我ら虎十字団の力はまだこんなもんじゃねえぜ?」
「虎……? 最初から気になったけど、なんで貴方たちが虎の名を?」
「今のお前が知る必要はない……だが我らの『魔』は、既に妃芽薗学園に狙いをつけている」
「なんですって!」
「お前の主は果たして今無事かな? もっとも……」
サイクロンはサングラスの弦を握りしめ、影虎へ突進した。
「お前が心配する必要は
が、サイクロンは回し蹴りで吹っ飛ばされ、そのまま十回転半程して気を失った。
「美鳥が危ない!」
影虎はサイクロンを一切振り向くことなく夜空へ飛び出し、駆けていった。
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「フハハハハ! まふ~ば~、ナマステ~、か~○~は~○~波~」
「い、いやあああっっ!! こんなの……こんなの違いますわ!」
妃芽薗学園、学生寮、美鳥の部屋。
先ほどまで美鳥と影虎が楽しく笑い合っていた場所に、今美鳥の悲鳴が響きわたっていた。 全身緑色の謎の男が両手をかざしながら、美鳥に迫っていたのである。
「貴様は我が信奉する物を馬鹿にした! 虎十字団の名にかけて、貴様の脳を支配し、
緑色の男の手が妖しく光り、美鳥へと何かが放たれようとする。その時。
「そこまでよっ!!」
寮のガラス戸をぶち破り、一匹の虎がその中へ飛び込んできた!
「な……何者だっ……!!?」
しかし影虎は男の言葉を聞くことなく、怒りに震えながらゆっくりと歩み寄る。
「美鳥を傷つける奴は……」
影虎は拳を全力で握りしめる。
その体から不思議なオーラが沸き立った!
「月面まで飛んでけーーーーーーーーーーー!!」
影虎は緑色の男をそのまま勢いよく殴りつけた。
強烈なアッパーカットにより男の体は窓の外へとぶっ飛んでいく。 緑色の男の体は、そのまま学生寮近くの大木に勢いよく打ち付けられ、磔となった。
「……って、流石に月面は無理か」
影虎は男の行く末を見届けるとすぐに美鳥へと向き直し、その場へ駆け寄る。
「大丈夫、美鳥!!?」
「は、はい……あの、貴方は……?」
「え……? あ、ああ……」
そこで影虎はようやく自分が覆面をしていることを思い出す。
とりあえず外そう、と思った時、影虎の心の中に声が響いた。
(ガウガオガオガウガオガーオ(紅井影虎、その覆面を外してはならん))
(虎語……、あなたね。私に覆面を渡したのは) (ガオガオガウガウ(そうだ。私は謎の虎おじさんと言っておこう) ガウガオガオガオ(影虎、お前は決して正体を知られてはいけない) (何故?) (ガウガオガガオガオガウガオガ(もし正体を知られれば、その虎覆面がもたらす力は失われてしまう)) (なんですって!) (ガウガオガガーウガオガーオガ!(既に奴らの手はその学園に伸びている!力を失えば今のお前では戦うことはできん!)) (そんな! じゃあ私は美鳥にどう言えば!) (ガオガオガウッ!(良いな!決して正体を知られるな!))
そして、虎覆面の男の声は消えた。
「あの……どうかしましたか?」
「いや、なんでもない……えっと……」
「とにかく、助けていただいて、ありがとうございます。是非お礼をしないと……それで貴方の名前は?」
「わ、私の名前……」
影虎は頭を悩ませる。
一体こういう時、どう名乗ればいいのか。影虎を、学園を守るべきヒーローの名前、なんか恰好良い、それらしい名前……。
「タイガービーナス」
「へ……?」
「そ、そう私はタイガービーナス! この妃芽薗学園の平和を守るためにやってきた転校生、正義のヒーローよ!」
「そうだったんですの」
「そう。とにかく、お嬢さん。今、この妃芽薗学園は狙われているわ! くれぐれも身の回りには注意して、戸締りを厳重にして! お友達が教えてくれた罠の仕掛け方とかを思い出して、部屋に仕掛けておいて」
「は、はい……、あのなんで私の友達のことを?」
「それは私がタイガービーナスだからよ! とにかく、いいわね!」
そういって影虎……否、タイガービーナスは先ほど自分が割った窓へと向かった。
「お嬢さん、私は貴方が危険に陥ったら必ずまた駆けつけるわ! 危ないときは是非私を呼びなさい!」
「は、はい!」
「ではっ!」
そして、タイガービーナスは夜空へと飛び去って行った。
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一人ぽつんと部屋に残された美鳥は、窓から吹き抜ける冷たい夜風を浴びていた。
「タイガービーナス……」
彼女の胸にはまだ先程のタイガービーナスの姿が強く残っている。
その胸に去来する想いは……。
「ダサい、ですわ……」
美鳥は、とりあえず窓ガラスを修理してもらおうと部屋の電話を手に取った。
一方、タイガービーナスは……学生寮の地べたに顔面をぶつけていた。
飛んだあと、学生寮のトラップにかかって地面に落ち、更に着地に失敗していたのである。
「いちゃい……」
何とか這いずりながら彼女は学生寮から無事に抜け出す方法を考えていた……。
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