プロローグ

厳かな武家屋敷の庭で、ちりり、ちりりと虫が鳴く。

――――あぁ、またこの夢ですか。

その冒頭で、私は気づく。
3年前のあの日から、何度となく繰り返し見たこの夢。
わたし達4人が揃った最後の夜。
最終決戦前夜のパジャマパーティー。




「さぁみんな、準備はいい?
ルールはドッヂボールの逆! 頭に当たるとアウトで、それ以外はセーフ!」

浴衣を転用した寝間着に身を包んだ赤髪の少女、御剣 緋赤(みつるぎ ひせき)が弾んだ声でそう言った。
両手には真っ白な枕が1つずつ握られている。

宴会用と思われる畳張りの大広間には4つの客人用と思しき布団と、大量の枕が用意されていた。

コクリコクリと、赤髪の少女に負けず劣らずウキウキとした様子で、ヒマワリ柄のキュートなパジャマに身を包んだ黄色髪の小柄な少女、黄乃瀬さつき(きのせ‐)が首を縦に振る。
両手には同じく白い枕。

「こんな時間にうるさくしては、おうちの方にご迷惑なのでは?」

「ダイジョーブ! 親にも兄弟弟子にも、『友達が来る』って伝えてあるから!」

そうですかと、にっこりほほ笑む青髪の少女、青空 羽美(あおぞら うみ)。
衣装は落ち着いた水色地のパジャマ。
枕をひとつ掴む。

赤髪の少女の説明を聞いていたのかいないのか、上の空で立ち尽くす黒髪の少女、鳥嶋 和子(とりしま わこ)。
サイズの大きなTシャツ1枚をワンピースのように纏う。

「和子ちゃん、はい、もってもって!」

黄色髪の少女に枕を持つようせかされ、無表情のままそれを受け取る。

「じゃあ、いくよ!
この枕が落ちたらスタートね!」

3人の視線が手元の枕に向けられたのを確認して、赤髪の少女はその枕を放った。
それを合図に赤・青・黄色の3人はバックステップで、黒髪の少女は瞬間移動を用いて各々と距離をとる。

数秒後、枕が畳に落ちる。

「ぎゃん!」

直後、青髪の少女の顔面に枕が命中!

「まァ~基本だよね。
羽美ちゃんドンマイ!」

赤髪の少女がクイックドロウで投じた2連枕の2つ目が青髪の少女を討った。
1つ目の枕を弾いた硬直を、その影より出で来た2つ目の枕に突かれた形だ。

「やっちゃえーーーーーっ!」

戦況は目まぐるしく変化する。
黄色髪の少女の固有魔法により“友達”となった無数の枕が、赤髪の少女に殺到する。

「うわわっ!?」

一瞬、驚きの表情を見せた赤髪の少女であったが、すぐに歯をむき笑う。

「地の利を使わせてもらうよっ!」

浴衣から瑞々しい生足が露出し、
震脚!
畳がめくれ上がり、いくつかの枕を防ぐ盾となる。

「はっ!」

赤髪の少女の体躯がおぞましい速度で稼働し、一呼吸で畳の盾を抜けた8つの枕を弾き飛ばす。

「やああああっ!」

続けざまに畳を踏み倒し、もたついていた枕達を圧殺。
さらに残党を弾き、踏み、打ち据え、次々と調伏していく。

変幻自在に飛び回り死角から襲い来る枕を、さも当然という具合に避け、カウンターを叩き込む。
“魔法少女”の力を借りず、メインウェポンである抜刀術を用いずともこの技のキレ。
“勝利”の二つ名に相応しい暴力的なまでの強さである

「ひっ、ひどい……!」

次々と“友達”がいたぶられていく様を見て、黄色髪の少女の瞳が潤む。
全ての動く枕を圧倒し終えた赤の戦鬼が、二つの枕を持ち直し、黄色髪にゆっくりと迫る。

「この短時間でこんなにたくさんの“友達”をつくるだなんて、すごいもんだ!」

そう言って赤髪の少女は黄色髪の頭部を目がけ、下手投げでふんわりと枕を放った。

「ひっ!」

黄色髪の少女は目を固く瞑り、頭を抱えへたり込む。

「させない。」

赤と黄の間に黒の影が瞬間移動で割り込み、枕を受け止める。

「おっとと!」

慌ててバックステップで赤髪が距離をとる。
黒髪の少女は赤の少女を見据えたまま、後ろ手に黄色の少女の頭を撫でた。

「まもる。」

黒髪の少女の枕投擲。
しかし、諸事情により筋力の弱っている彼女の投擲は弱々しい。

油断なくその枕を受け止め、あさっての方向へと投げつける赤髪。
その背後より黒髪の少女が瞬間移動を用いて出現!
無防備な後頭部を目がけ枕が突き出される。

「その戦い方は―――――」

突き出された腕を目視することなく、赤髪の少女はそれを捉える。
間髪入れず体を寄せ、腰で黒髪の少女を担ぐ。

「―――――私が教えた!」

一本背負い一閃!
黒髪の少女は緊急の瞬間移動により辛くもこれを回避。

しかし、その回避先には赤髪があさっての方向に投げた枕が!




まだ日も出ない程の早朝。
極端に物が少ないアパートの一室で、その少女は目覚めた。

つうっと頬を伝う一筋の涙を拭う。
あの夢だけはダメだ。
何度見ても慣れず、その度に泣いてしまう。
あれから3年。
いい加減慣れればいいのにと、どうしようもない自分が可笑しくて、力なく少女は笑った。

ため息をひとつつき、ぴしゃんと両の頬を張ってそれを払拭する。
気持ちを切り替え体を覆っている“魔力”を確認する。

青髪の少女、“魔法使い”青空 羽美(あおぞら うみ)は魔力と呼ばれる生命エネルギーを自由自在に操る能力者である。
その魔法の基本の技である、「キュア・エフォート ノーマルモード」は魔力を体に纏い、留める技だ。
半端な魔力使いである「魔法少女」達が「変身」と呼ぶこの技は、その言葉が意味する通り、生身の人間とは隔絶した肉体強度や機動性を得ることができる。

彼女は弛まぬ修行の末、意識せずともその状態を維持できるようになった。

「ふっ!」

一段、 魔力放出のギアを上げる。
「キュア・エフォート ヴァルキリーモード」という名を冠すこの状態は、ノーマルモードより多量の魔力を放出し続け、維持する技だ。
有限である魔力を多く支払うというリスクを背負う分、ノーマルモードより強力な性能を発揮することができる。

彼女は、平時は努めてこの形態でいるよう心掛けている。
この形態でいることは、一般的な人間で例えると筋力トレーニングを行っているに等しい。
この形態でいることで、一度に体外に留めておける最大魔力量と、潜在的な総魔力量を同時に鍛えることができるのだ。

魔法使いの朝は早い。

ヴァルキリーモードを維持しつつ、羽美はテキパキと身支度を整える。
洗顔・歯磨きの後、運動着へと着替えを済ませ、下駄箱から運動靴を取り出す。
その際、下駄箱の上に置かれた写真立てに数秒視線が固定された。

「行ってきます。」

写真立ての前に置いておいた懐中時計をポケットにねじ込み、羽美は家を出た。




「まほ。」「かつ。」「まほ。」「かつ。」「まほ。」「かつ。」「まほ。」「かつ。」

ヴァルキリーモードを維持しつつ、早朝の住宅街を少女は走る。
まだ夢の中にいるであろう住人達を気遣い、掛け声のボリュームを絞り、足音を抑えてのランニング。

魔法少女の鍛錬活動、略してまほかつとランニングには切っても切れない縁がある。

「ランニングはいい。ランニングは全ての道に通じる。」

唯一無二の親友にして、3年前の戦友、“勝利の魔法少女“キュア・ビクトリー、御剣 緋赤(みつるぎ ひせき)はかつてそう言った。
緋赤曰く、「正しき体にこそ、正しき剣は宿る。転じて、正しき体にこそ、正しき魔法は宿る……ハズ! さぁ、走ろう!」だそうだ。

今思い出しても、やはりイマイチ納得できない。
それでも、私が魔法少女になったあの日から、なぁなぁな感じでランニングを強要され、いつの間にかそれは日常の一部となっていった。
ちなみに、この「まほ・かつ」という珍妙な掛け声も彼女の発案だ。

やがて、黄色の魔法少女がメンバーに加わり、黒の魔法少女が加わってもこのランニングだけは私たちの共通鍛錬メニューとして残った。


「まほ。」「かつ。」「まほ。」「かつ。」「まほ。」「かつ。」「まほ。」「かつ。」


住宅街を抜け、田んぼ道に差し掛かる。
あんな夢を見たせいだろうか。
振り向くことなく先頭をひた走る赤の魔法少女を、
その後ろをへろへろになりながらついて行く黒の魔法少女を、
黒の魔法少女に寄り添い必死に励ます黄色の魔法少女を、
そして最後尾から彼女達を見守る青の魔法少女を、
幻視した。

ぴしゃん!

両の頬を張る。
受け入れろ。あの子たちはもういない。




「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」


田んぼ道を抜け、山道へと入る。
私の住むN市はすぐ近くに3000m級の山々が立ち並ぶ。
住宅街から10kmも走れば、そこはもう山への入り口だ。

ここまで来てしまえば、声を潜める必要も、足音を気にする必要もない。

「キュア・コレクト」

足に魔力を寄せ集める。
足自体が、そして地面を蹴る力が飛躍的に強化され、一踏みで魔法少女の限界速度を突破した。
魔法使いにのみ許される速度領域。

かつての自分にこんなことはできなかった。
かつてのランニングコースはここで終わりだった。




「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」

山中を目をつむった状態で駆け上がる。

「キュア・サークル」

半径2m程度に薄く延ばして広げた魔力の結界が、視覚の代役を果たす。
確かな足場を選別し、林立する大木の位置を感知し、淀むことなく走り続ける。

前方の草むらに生物の気配。
大きさ・輪郭から言って熊だろう。

「キュア・バースト」

敵意を持って、軽く魔力を飛ばす。
野生動物程度であればこれで追い払える。

「縄張りを荒らしてしまったようで、申し訳ございませーん!」

そう言いながら、駆け抜けた。




「まほ……!」「かつ!」「まほ……!」「かつ!」「まほ……――――」

ランニング一番の難所、崖のぼり。

「キュア・オリジン」

魔力の一切を絶ち、完全な生身で断崖絶壁を上る。
今日は天気が悪い。
吹き付ける風が、高所による低温が、手足の感覚を奪ってゆく。

「まほ……!」「かつ!」

それでも、一手一手違えないように手を伸ばし、足を運ぶ。
これは肉体鍛錬よりも精神鍛錬としての特色が強い。

魔法の命とも言える魔力操作の精度は術者の精神状態に依存する。
故に魔法使いはどんな極限状態にあっても冷静さを失ってはならないのだ。

感情が大きく揺れれば、それは死に直結する。




「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」


崖を上りきればあとは万年雪の積もるなだらかな斜面を駆け上るだけだ。
「ヴァルキリーモード」を展開し、雪の上を滑るように走る。

いつの間にやら結構な高さまで登ってきていたようで、目の前を巨大な雲が横切っている。
躊躇いなく、その雲の中へ飛び込んだ。




――――まくら投げの後。
皆でトランプをして遊び、布団に入り、これまでの思い出話をした。
キュア・ビクトリーがじゃんけん大会で獲得したチケットで、みんなで温泉旅行に行った話。
キュア・フレンドシップが捨て怪人を拾ってきて、みんなでお世話をした話。
キュア・テンカウントが敵幹部だったころ、キュア・フレンドシップを即死させた話。
懐かしい思い出話は尽きることなく、楽しい時間は過ぎた。

やがて、最年少のフレンドシップがウトウトし始めたのをきっかけに私たちは本格的な就寝体勢についた。

その後、……――――あれは何時くらいだったのか。
ふと目がさめた。
まだ辺りは真っ暗で、変な時間に起きてしまったなと思い、再び夢の世界に戻るべくぎゅっと目を閉じた。

「……羽美ちゃん?」

不意に、隣の布団から声がした。

「もしかして、起きてたりする?」
「……いいえ、寝ています。」

私と緋赤は言葉を交わした。

「ねぇ、そっち行ってもいい?」
「そっちって、私の布団へですか。」
「うん」
「丁重にお断りします。意図が分かりません。」
「意図を説明したら受け入れてくれるの?」
「どうでしょうか……。よほどの説得力が無いと難しいと思いますが。」
「だよねぇ……。じゃあさ、その。手だけ握ってくれない?眠れないんだ。」
「はぁ。」
「一生のお願いだよ。どうかこの通り。」
「どの通りですか。……というか、緋赤の『一生のお願い』は小学5年生の時に使用済みです。」
「うそ、マジ?」
「まじです。」
「私どんなお願いしたの?」
「それは……そうですね。恥ずかしいので秘密です。」
「なんだよそれー。くっそー全然覚えてないや」
「勿体ない使い方をしてしまいましたね。」
「くっそー、うぎぎぎぎ……」
「……ハァ。(ゴソゴソ)」
「あ」
「別に、手くらいなら構わないですよ。」
「かたじけない。大親友様の寛大な計らいに心から感謝いたします。」
「……手、冷たいですね。これで眠れそうですか。」
「うん、ありがとう」
「どういたしまして」
「……羽美ちゃん、明日のことなんだけどさ」
「はい」
「勝てないっぽいんだ」
「はぁ。」
「こんなのはじめてなんだけど、どうも私、明日負けちゃうみたい」
「うそばっかり」
「うへへ、私も私が負けるだなんて信じられないよ」
「緋赤は勝ちます、いままでも、これからも」
「うーん、まぁ……。じゃあこうしよう。仮に明日私が負けたとしようよ。」
「(仮)ですね。いいですよ」
「その後の話なんだけど、羽美ちゃんにこの世界を任せたいと思う」
「いいでしょう、任されました」
「1年に2・3回は『世界を滅ぼすぞー』とか『世界を征服するぞー』って奴が湧いてくるから、そいつらをたたいて欲しい」
「それは私にもできることなのでしょうか。
私は緋赤やさつきや和子のように強くありませんが。」
「できる。」
「本当にですか?」
「正確には、今の力では厳しい。
でも、羽美ちゃんが真剣に自分を鍛えたなら、とんでもなく強くなれるから大丈夫。」
「とんでもなく……。」
「うん、とんでもなく。」
「それは、緋赤よりも強いですか?」
「いや、私の方が強い」
「ははは、こやつめ」
「うへへ」
「……手、あったかくなってきましたね。」
「ふわぁああ、これでようやく安心して眠れるよ」
「わたしも……なんだか……眠……く……」
「あぁ、そうだ。最期にひとつだけ。

3年後の話なんだけど―――――




「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「まほ!」「かつ!」「……よいしょー!」


山頂到達。
雲の上から望む朝日は美しい。

――――3年前のあの日、私が目覚めた時には全てが終わっていた。
ビクトリー、フレンドシップ、テンカウントの3人は私を置いて行った。
「エフォートはこの戦いについて来れない」と、最終決戦に置いて行かれたのだ。

枕元には、3人が大切にしていた3つの品が置かれていた。

緋赤は最後の夜、私に手を繋ぐよう求めた。
魔法を修めた今ならわかる。
あれは、私の魔力を吸うための行為だ。
彼女の手が異常に冷たかったのはそのせいだろう。
魔力を吸われた人間は、半日ほど行動不能になる。
私が皆の起床に気付けなかったのはそのためだろう。

実際問題、私は最終決戦にはついていけなかったのだろうとは思う。
あの4人の中で私ことキュア・エフォートは格段に弱かった。
他の3人のように固有の魔法を使うこともできず、武器も無く、唯一自慢できるのは体力くらいだった。

それでも、それでも。
置いていくことはないじゃないか。

ついていくことで、私が足手まといになるのは目に見えている。
もしかしたら人質にとられるかもしれないし、私を庇って他の3人の動きが制限されるようなことになるかもしれない。

それでも、それでも……!
置いて行かないで欲しかった。
あの3人は絶対にわかっていない。
大好きな友達が、一気にいなくなる辛さを。
その途方もない悔しさ、悲しみ、無力感を。
置いて行かれるくらいなら、一緒に戦って、その中で散りたかった。

……わかっている。
これは八つ当たりだ。わがままだ。
全ては弱い自分が悪い。
どこかで自分の力に見切りをつけ、3人に戦いを任せていたことに対する因果応報だ。

それから3年。
私は自分を苛め抜いた。

1年目は何も掴めず、ただ辛い毎日だった。
そのうち緋赤の予言した通り、「世界の敵」が現れ、応戦するも大敗。
命からがら逃げ出し、その過程で魔法少女の力の本質に気付く。
その後独学で研究を行い、今の魔法の初歩を修めるに至った。

魔法習得後、リベンジマッチにて「世界の敵」を討ち果たす。
そこからは時間が加速したように早かった。

2年目。
2月、5月、12月に計3人の「世界の敵」を葬る。
強化以外の魔力の応用法に気付き、重点的に鍛錬する。

3年目(前半)。
4月に二人組の「世界の敵」が現れるも、「ノーマルモード」のみで完勝。
自身の能力が極まったことを確信する。

そして、現在。
あの最後の晩に緋赤は言った。

「3年後の話なんだけど、チャンスが巡ってくる。
よくわからないんだけど、『時計』が見える。
その時計を巡って戦いが起きるはず。
それで、もしその戦いに勝てたなら、また私たちに会える……ような気がする。
ふわふわしててごめんね。でも、頑張って。羽美ちゃんならできるよ。」

カチャリ。
ポケットから懐中時計を取り出す。

緋赤の予言通り、3年後にあたる今年、私は「迷宮時計」と呼ばれる魔人能力の残滓を手にし、それにまつわる戦いに巻き込まれた。
今のところ戦績は3戦3勝、上々だ。
しかし、一戦毎に対戦相手の強さが増しているのを感じる。
前回の相手はまだ「世界の敵」よりは格下の魔人達であったが、今回は、その次はどうなるか分からない。

だが、相手が強かろうと負けるわけにはいかない。
私は勝って、勝って、勝ち残らなければならない。
あの日のみんなに胸を張って並ぶために。

明け方に見た夢のせいだろうか、どうにも今日は精神が不安定だ。
こんな時は、アレに限る。

「ハアアアアアアアッ!」

魔力を充実させ展開中の「ヴァルキリーモード」を過剰展開。
体外に留められる限界を超えても過剰に魔力を放出し続ける。
こぼれ出す魔力量より、放出する魔力量の方が多ければ、留めている魔力は圧縮され、より濃度の高い魔力となる。

濃密な魔力で全身が満たされたことを確認し、右手を天にかざす。

「ヴァルキリー・キュア・バースト!」

体内の全魔力を細い出口から一気に押し出すイメージ。
右手から極大の青き光弾が射出され、天高く昇っていく。

その勢いのまま、私は腹の底から声を上げる。

「ひせきーーーッ!!
さつきーーーーッ!!
わこォーーーーー!!
待っててください! わたし!! わたし、絶対勝ちますからー!!
それで……、それで……。
まず会ったら、みんな……!
お前らみんなァ、一発ずつブン殴ってやりますからねェーーーーー!!」

山脈に、少女の声がこだました。




魔法少女名:キュア・フレンドシップ
真名:黄乃瀬さつき(きのせ‐)
固有魔法:友情を育むよ。
性格:明るい、無邪気、博愛
武器:花束

魔法少女名:キュア・エフォート
真名:青空 羽美(あおぞら うみ)
固有魔法:努力が実るよ。
性格:単純一途。
武器:素手

魔法少女名:キュア・ビクトリー
真名:御剣 緋赤(みつるぎ ひせき)
固有魔法:勝つよ。
性格:豪快、自信家
武器:勝利専剣 鬼丸・頂(しょうりせんげん おにまる・ヘッド)

魔法少女名:キュア・テンカウント
真名:鳥嶋 和子(とりしま わこ)
固有魔法:打ち切るよ。
性格:からっぽ
武器:大鎌

最終更新:2014年10月06日 18:02