裏第一回戦SS・オフィスビルその2
「あなたは私のお母さんお父さんですか?」
宇宙と資本主義の膨張に関連性を見出し理屈付け理論付けた大起業家F.ホーリマ。彼の電子複製脳に選ばれし受付嬢は意識した全てを系統付けて分類する癖を持つ。受付業務時の外来生命体は203種類に分けられる。天使。ハロウィンにしては時期はずれだ。正確に観察する必要がある。彼女のもう一つの癖が出る。腰のリボルバーで来訪者の心臓を撃つ癖だ。対象の生存は観察の必要条件ではない。0.5秒以下の無意識から拳銃が引きぬかれた。
救済天使モード開始:0字
四葉の人格が即時救済へのエネルギィに変換される。七色の後光が照る。天輪が高速で回転する。天使は笑む。
「神の御心のままに」
オートマティックに放射される光線は受付嬢の身体を七回半貫いた。眉間・心臓・右手・左手・右足・左足・そして脇腹から体内に入り臓腑を撹拌する。光の速さで。覚悟なく死んだ受付嬢はなぜか慈悲深い笑みを浮かべて永眠した。
天使はオフィス内を歩き続ける。非常にゆっくりと。天使の両翼を目一杯広げて。もしかしたらこの世界にいるかもしれないお母さんかお父さんが気付いてくれるように。
武装警備兵たちは天使の姿を確認次第順次発砲した。
「敵対するものは悪魔に支配されており、救済は洗礼の一点のみである……」
音もなく光が飛ぶと光の速さで確実に命を奪う。天使は笑っていた。天輪を投げる。穴の内宇宙が兵たちを吸い込む。
天使のエネルギィは有限だがコストはからし種ひとつ程度で済む……とはいえ有限は有限だ。全力が発揮できる内に対戦相手から伝道すべきだが天使は天使の本懐として迷える子羊たちを救わなければならない。一人残らず。ノンストップで光を。もっと光を。天使の通り道には血と肉と笑顔が山づみだ。
ついに最上階の不幸な成金デブを神のもとへ導くと天使は跳躍し天井を破壊、上昇する。天使の輪っかはドリルでもある。
屋上へ飛び出すとサークルHの真ん中にベースをさげるゴスロリが立っていた。
「聞いて下さい『天使はエッチ』」
「ひぃ。ふぅ。ア、ひぃふぅみぃよぉっ」
ジャカジャカジャカジャン!
「天使の光は電子レンジ~ 電子レンジ? 天使エッチ!
お皿も輪っかも回転~ とても熱いよ天使のエッチ~!
あ~ だから私の身体もこんなに熱いのねっ! のねっ!!」
ジャジャーン!
ゴスロリはスカートをたくしあげる。黒パンから13cmが頭を覗かせる。
「ワイも天使なんやで~!!」
もちろん嘘である。
「あなたは私のお母さんお父さんですか?」
「お前がお母さんになるんだよぉ~!!」
天使(本物)は光を飛ばしゴスロリを貫く。
「ぐふ……無念や……」
ゴスロリは涙などの汁をこぼし昇天した。
救済天使モード終了:900字
須藤四葉は恐る恐るゴスロリスカートを捲りガーターベルトをちぎりパンツ(黒)を脱がせ暗黒もじゃもじゃ密林に長い長い指を伸ばす。ぷにっとした感触。穴はなく線が隆起している。片性である。天使ではない。四葉は安堵……ではなく嘔吐した。
「おえーっ」
最終更新:2014年11月30日 08:46