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第二回戦SS・動物園その1


お前達は

――どうしてそんなに楽しげに笑えるんだ。―こんなに苦しいのに

――どうしてそう何度も立ちあがれるんだ。 ―こんなに目の前の崖は厳しいのに

――どうしてそんなに強いんだ。 ――その強さのみなもとをおしえてくれ


―― Return the Green, Green Grass Of Home




●2014年11月13日0:30 真沼陽赫(2戦目)―自宅&電脳空間『The World BR02』―

―――――――――――――――――――――――――――――
zootom:redsunサン。明日”lynx”狩りするんだけど一緒にどう?
redsun:悪い、無理。
zootom:ぐぉっ最近付き合い悪いな。昔は聡明な子だったのに。
redsun:いつの時代の話だよ。
zootom:オレ、アイツ倒したら WBR02ゲームクリアーするんだ。
redsun:おう、じゃ、また明日な。
―――――――――――――――――――――――――――――

『The World BR02』はネット上に存在する仮想戦闘オンラインゲームである。
最大の売りは細部まで作り込み可能なバトルシステム。基本キャラは100種類以上。
そこから指先一本に至るまでカスタム可能で現実と見紛うばかりの精巧なキャラを
再現したり、逆に現実では不可能なトンデモキャラを作成できたりする。

redsunこと真沼陽赫はそこでトップクラスの戦歴を誇っている生粋のランカ―だ。
チーム戦にはほとんど参加しないため、ランキング上位には顔を出していないが
単体の実力では3本指に入るといわれている。
(なおzootomがいってたlynx狩りというのはチーム戦で運営が用意した特殊な
NPCと戦うというもの。勝つと大量のPが入手できるはぐれメタルのような存在。)

ただそれだけなら只のネット上のバトルジャンキーだが、他のランカ―とひとつだけ
大きな差異点があった。それは全身を義体化し、自分自身を再現した機体を
使っている陽赫にとってネット上と現実世界の強さがほぼイコールになっている
ということだ。
彼はそこで自身のスタイル極度推進格闘術(ETC)を完成させた。誰も知らず誰にも
頼らず、彼の執念のなせる技であった。そこで彼は無限の仮想トレーニングを積み続ける。

もし、このことを知ってバカにしたり、あざ笑われたりしたら……自分の勝ちだ。
笑う連中の目は節穴…彼はそう思う。
何故なら、次に彼らは、現実で華麗なステップを踏むETCを見て唖然とすることになるのだから。

(模擬戦試合結果)

●redsun vs ○英検使い(lvmax:30段)
○redsun vs ●英検使い(lvmax:30段)
○redsun vs ●英検使い(lvmax:30段)
○redsun vs ●英検使い(lvmax:30段)
○redsun vs ●英検使い(lvmax:30段)
○redsun vs ●英検使い(lvmax:30段)
……
表示され続ける彼の強さは、もはや「あらゆる奇手を厭わない」などという範疇を
軽く越えつつあった。


【同刻:リークス・ウィッキー(3戦目)】
リークス・ウィッキーは明かされた対戦相手、真沼陽赫。蛎崎裕輔。
その二人の名、そして今回の舞台を吟味する。
他の二人の経験値はどの程度なのか、この舞台に何を考え優先するのか。迷宮時計の
戦いは相性もそうだが各人が得てきた経験則が大きく戦局を左右すると思われる。

それは例えばチャンプの様な『貫ける』強さも含む。その手のタイプは非常に厄介なのだ。

「…蛎崎。…スペースノイド。」
そして決断する。
選択を間違ってはいけない。やはり最も警戒すべきは蛎崎裕輔が保有するだろう魔人能力。

そう見定めた彼は手早く予約の段取りと手配を行うと部屋を立つ準備を始めた。


【同刻:蛎崎裕輔(2戦目)自室】
少年はそのころ寝床にいた。
家族と共にいた夢を見ていた

彼が、まだ北海道にいた両親と共に過ごした懐かしい日々を。呼ぶ声が聞こえる。
The Green, Green Grass Of Home…

彼が「対戦相手」と「戦いの舞台」を知るのは夢から覚めた明け方のことだった。






指定戦場:旭川市『旭山動物園』

戦いの舞台は 『最北の宇宙コロニー・北海道』








●旭山動物園 am7:35
旭山動物園。北海道旭川市にある日本最北の動物園。
通常の「展示型」でなく、行動や生活を見せる「行動展示」を導入したことで注目を集めた。
滑り台を翔けるペンギン、同じエリアで過ごす草食動物たちなど
北海道の危険すぎる野生動物群と異なる安全安心な動物達の姿は道民たちの憩いの場となっている。


13日 24:00 迷宮時計の魔力が発動し、彼らはその闘いの間へと無作為に振り分けられる。

位置:北東、サル山に真沼陽赫。

位置:中央、地図案内板の前に蛎崎裕輔。

位置:南西、ヒグマ館(パノラマ)、ウィッキー。

そして、それぞれが各々の思惑をもって動き出す。

††

真沼陽赫はサル山からブラスターを一噴きし、道側に降り立つと現在位置を確認する。
そして次に配置された監視カメラの作動状態を確認する。
問題なく動いてる。無表情に首を振り通路を観察し続ける彼らを見て
「良し。」
彼からGOODの言葉が漏れる。彼の最優先行動順位は「二人の対戦者」の捕捉だった。
まずはこの園の監視システムの占拠を行う。目指すは中央施設の監視室。
対戦相手二人を自身の能力で繋いでしまえば彼の勝率は圧倒的に高くなる。それが最善手。
他にもパターンは幾らでも作りだせる。複数戦こそ彼の能力を最大限発揮できる場なのだ。

ウィッキーは地を駆け、目的に向かいひた走る。
彼は今回動物園に人員がいるという前提で動いていた。そしてその避難をまず最優先で
行う予定であった。何故ならばそれが今回彼が払うべき『対価』の一つであるからだ。
そのための手筈や準備は既に整えてある。故に目指すべきは中央施設。

奇しくも同じ場所を目指すこととなったふたりは、ふと異常な気配を感じ、空を見上げた。

それは突如現れ、そして次の瞬間には消えていた。

((なんだ今のは!?))
不用意なる召喚と消失、混乱が彼らの鋭利な思考を困惑させる。

蛎崎裕輔は安堵していた。
彼の魔人能力「The Green, Green Grass Of Home」はスペースコロニー北海道を呼び出す
魔人能力である。そして北海道は外敵と判断した者と召喚者である自分が敵意を抱いたものに
対し苛烈な攻撃を加える性質をもっている。

もしこれが通常の動物園で有れば彼が召喚した『北海道』が園内の動物達を「外敵」と判断し、
無差別に攻撃する恐れがあった。心根の優しい素直な少年である彼にとってそれはとても
耐えられないことで有り、召喚には細心の注意と大幅な制限がかかっただろう。

ただ、ここが北海道、旭山動物園となれば話は違う。別次元の『北海道』を召喚しても
コロニーがここの動物達に危害を加える可能性はほとんどなかった。
何故ならば、それが『北海道』というものだからだ。
寛大、北大、三千文字に収まらない雄大さ、それが『北海道』というものだからだ!

「The Green, Green Grass Of Ho…」

故に彼は戸惑うことなく召喚のまじないを唱える。何某の異常を関知し騒ぎ出す動物達。
それは正しい認識だ。北海道は無意味に北海道を傷付けない。だだ、正しい状況判断で有る
ともまた言い難かった。

「ちょと、なに?」「さわがしいっすよね」
騒ぎ出した動物に呼応するように施設の扉が開き、飼育員が2人ほど顔を出したのだ。
彼は慌てて、呼び出した北海道を元の世界へと返す。

(ああ、そっか人もいるんだ。どうしよう。いなくなるのを待ってから…いやいや駄目だ。
時間が立って開園したらもっと沢山の人が押し寄せて来る…。)

動物達はともかく、人は駄目だ。パニックで手がつけられなくなるし、外部から自警団を
呼ばれたら…初めて彼は無制限に動物達を呼び出せられていた先日の湿原の戦いが、いかに
自身にとって幸運で有利なものであったかに気づく。

(本屋さん…)
その時の対戦相手司書の優しげな面影を想いだし、彼は顔を挙げた。そして彼は意を
決すると顔を出した飼育員に声をかけるために、歩を進めたのだ。

††

「ここは、もうすぐ、エゾヒグマとかが来るような、とんでもない戦場になってしまいます!
お願いします!戦いに巻き込まれないうちにみんなで逃げてください!!」

もし貴方が動物園の従業員で開園前に駆けてきた少年からこう告げられたらどういう
反応を示すだろうか?
案の定、少年に対応した二人の飼育員は困ったように顔を見合わせた。
「うーん逃げてくださいといわれてもね。」
「調子先輩どうしましょうかね、この子?」

 純朴な彼らしく直球勝負に出たまではよかったが流石に説得力がまるでなかった。
これでは「ヒグマが来るぞ」という嘘つき少年の逸話の再現ではないか。
まだ、無下に追い返されないだけ、マシな対応を取って貰えていると言えた。

祥子と呼ばれたグラマラスな女性は改めて、少年、蛎崎裕輔を見る。少し気の弱そうな
ところはあるが純粋そうでとても嘘をつくような子には見えなかった。それにふむ
なかなか顔立ちも良い…
「―――――――――――ふぅ、じゃちょっとあっちの小部屋で話を聞くことに
しようかしら…、ふふふ…心配しないで、時間はたっぷりあるから」
「先輩が今一番危険で危ないですよ。あ、ジーンさんだ、今日はお早いですね。」

男性の方が知り合いを見掛け手を振る。全員がそちらを見やると駆けて来る人影があった。
この園のマスコット”シマ梟のカムイ・ジーン”さんだった。
タイツ姿でフェザーマントを背負った軽快なスポーティタイプのマスコットである彼は
華麗な空中二回転半捻りでの着地を決めると両手をHAHAと広げ、どやっとポーズを決めた。
背中には「kick me」となかなかに自虐的な張り紙が貼ってある。間違いなく当人だろう。

彼は二人から事情を聞くとボードを取り出し、さらさらと字を書きだした。

『Believe will(信じましょう)人間だもの。』
「おー。」
「えーいいのかな…まあ、ジーンさんがそういうなら…」

「あ、ありがとうございます!!」
その言葉を聞いて、ぱぁーと少年の顔が光輝く。
うお眩しい。その余りに疑いのない笑顔に後ろ暗いところがあった3人がうぉと怯む。

「ごめん。話、信じてなくて」
「ごめん。調教しようとして」
「Wikiwikiwikiwiki…。」

そして、それじゃそういうことでとそう話が纏まりかけた平和すぎる彼らの思考を
あざ笑うかのように4人を2本の赤い線が交差し、結びつけるた。世界が暗転する。



●旭山動物園 死線と死闘
真沼陽赫にすると、この攻撃は不本意といっていいものだった。

彼もまた、エリア内での他の人間の存在を想定していなかった。
これは前回の戦いで一般の人間の存在しなかったことによる影響もあった。特に陽赫の
戦った遊郭では人払いが完全になされていたため、今回も同条件に当てはまるだろう
と思うのもあながち無理な話ではなかった。

故に彼は施設前でくっちゃべっている4人の集団を確認すると近くの生垣に身を隠し、
彼らの様子を慎重に伺った。内訳は飼育員とマスコットキャラ、そして14、5歳の少年、
様子から察するに施設内に向かうことがしれた。
やがてマスコットに促され、他の全員が彼に背を向ける。彼も目的地は同じ内部だ
それを追尾しようと意識を自身の身に戻した。その次の瞬間、全身が総毛がたった。

―死。―

彼は、死神―否、蟹の鋏の間に自身の首を挟まれていることを自覚した。
殺気と呼ぶのすら生ぬるい死の予感。
先日の異形の少女との戦いにより研ぎ澄まされた感性が、彼に己に差し迫った危機を
訴えかけていた。何かいる。潜んでいる。だが気配は既に霧散していた。

今何かしなければ自分は確実に『死ぬ(ゲームオーバ)』。
ならば戦局を無理やり変化させるのみ。魔人同士での戦いに理など及ぶ範囲は知れている。
彼は己が直観に全てを賭け、躊躇なく行動に出た。

『ふたりきりの戦争』発動。

レッドラインが2本、飼育員同士、マスコットと少年をそれぞれ結び付ける。
運命の赤い糸は何も一本とは限らない。『ふたりきりの戦争』は複数発動可能な能力なのだ。

彼は通常の一本より少しだけ多い数―――具体的には同時に20本くらいまでならば
問題なく発動と維持をすることが出来た。
それは自衛隊の機動小隊くらいまでなら一人で完全に無力化できるといっているに
等しかったが、謙虚な彼はそれを外部に吹聴するようなことは決してなかった。

この能力発動で変化がなければ全力で退避するつもりだったが、陽赫は自分に纏わりつく
ようにあった死の気配が消えたことを察した。そして彼の前に存外の成果が転げ落ちる。
変化。マスコットと飼育係は突然の状況変化に対応できず唖然と赤い糸を見詰めていたが、
一緒にいた少年のみ、反応が異なったのだ。周囲に眼を走らせ、警戒態勢をとってきた。
それは先ほどの現象を魔人による攻撃だと想定し、その攻撃者を探る挙動だった。

まず間違いなく対戦者。見た目14~5の少年。明らかに”ウィッキーさん”ではない。
(…ということはこいつが蛎崎裕輔。予想外のビンゴか、不味いな…)

『ふたりきりの戦争』は結びつけた一対同士の決闘を強制する能力。蛎崎裕輔とマスコット
相手を結びつけて発動した状態では、こちら側からの攻撃手段が相当に制限を受けてしまう。

だが、まずは相手の攻撃の質を見極める。
少年は迷わず攻撃の手操に移っていた。手を頭上に挙げ―――

「The Green, Green Grass Of Home.」そう唱えた。

!!!――――少年以外の全員が、その存在を知覚し、頭上を見あげた。

そこには巨大なコロニーの姿。そこにあるはずのないものがあった。今あるべき大地、北海道。
その「大地」そのものを彼は召喚したのだ。


陽赫の意識が、コロニーに向かい、そして、散々と乱れる。

―召喚能力者。―最悪だ。―発動の意味がない。

―コロニー、あれが ― ”おれの敵”か―

『敵意・感知』。

次の瞬間、彼の周囲一面に”蝦夷蛙”が容赦なくに降り注いだ。


††

「!!!」

怪雨(かいう)であった。
それは動物や魚など「その場にあるはずのないものが降ってくる」怪奇現象を指す。
日本でも古くから知られた現象であり、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』に
「怪雨(あやしのあめ)」として記述が残されている。
その現象が何故、今ここで起こったのか?もはや理由は明白であるだろう。

それらの怪奇の元凶は全てコロニー北海道にあったのだ。マジ北海道怖い。

べちゃりべちゃりと彼とその周囲で天より飛来する蛙達が潰れていく。
そして体液を浴びた陽赫の義体がしゅうという音をたて溶け、染みとして彼の身体に
傷みを残してゆく。
(毒蛙!?こいつの体液、腐食液か何かか?)

冗談ではない、蛙の集中豪雨をスラスター加速で振り切ると彼は前方にあるテントに
突っ込む。後を追うようにぼとぼとという音がテント天井から聞こえる。
明確に自分を敵対対象として的にし、蛙をふらしていると判る。
テントのビニールカバーを無理やりはぎ取り、カッパ代わりにすると反対側へと飛び出した。

次に来たのは”轢死”の予感。

蝦夷鮭が、ほんの2ダースほど彼の元に殺到してくるところであった。半包囲同時攻撃。

伏兵。うん、死ぬね、これは―

「―――と普通は思うよな。」
次の瞬間、全ての鮭達に一対の赤い線が飛びかい、互い互い鮭の同士で紐付けがされる。
これで彼らの攻撃威力は10分の一に減殺され、殺人鮭は荒捲き鮭程度の脅威になり下がる。
己が防御力が遥か上。彼はその攻勢を耐えきり、近くの林へと駆けこむ。

陽赫にはあずかり知らぬことではあったが、『北海道』の動きが力任せの前回のそれとは
明らかに違ってきていた。徐々にではあるが『北海道』が少年の手によって”運用”され
つつあるのだ。それは動物園の被害を最小限に抑えたいという少年の優しき心が発露とな
ってはいたが、同時に最小の兵力運用で最大の効果が得られるように的確に敵を追い込む
冷徹な戦術家の誕生をも意味していた。

彼にはその才があった。そして、ここで今まで状況を静観していた少年、蛎崎が動く。

「ピー。」
少年は口に指を手にあてると口笛を鳴らすと空を舞っていた一匹の「チリコイキ」
(アイヌ語で鷹の意)を呼び寄せたのだ。
アイヌは狩猟に鷹を用いる。彼自身はアイヌではないが幼少の頃より山谷を駆けまわり
自然に為れしんでいたため、彼は嘗てのアイヌ民族の若者の様に”鷹”を自由に
乗り回すことが出来たのだ。

跳び乗る少年。
そして大空に飛びあがる大鷹。
鋭い眼光、黄金の翼、そして獅子の体躯!嗚呼、間違いなく、蝦夷鷹の勇姿であった。

「ってグリフォンじゃん、それ!」
陽赫の抗議がむなしく地に響く。
「さあ、降伏するなら今のうちですよ。3,2,1…いきます!」
勝利を約束する金色の鷹に跨った少年に先導され、蝦夷鮭たちは優雅に宙を舞うと
編隊を組み、陽赫に肉薄。腹に携える産卵弾を発射した。

ガッと硬質な音が響く。そして一隊が反転すると次の二波が彼に迫る。
ガッガッガッ…ガッガッガッ…ガッガッガッ…ガッガッガッ…………ッ!
「ぐうううう」
執拗なる波状攻撃。
一波二波三波…絶え間なく続く攻勢に 陽赫は反撃の糸口をつかめない。

例えダメージが10分の1になろうと同じなのだ。30匹で倒せなければ、30匹での
攻撃を10回繰り返せば済むこと、指揮官を得た蝦夷鮭たちは正に水を得た魚であった。
勢いよく跳ね、踊り、削る。物量万歳、それが北海道のリアル。大自然。

数分後、後に残るはイクラにうずもれ、見えなくなった一山いくらのスクラップだけで
あった。少年は己の勝利を確信し高度を下げる。


「――――――って思うよな。大概にしろ!北海道!」

pppppp・・・いくらの山が突如爆散し、中より高機動モードとなった陽赫が飛びあがる。
(やや半泣きになりながらも)深刻な打撃は受けていない!
敵陣の間隙を突き、ブラスター全開による飛翔で、金色の鷹に肉厚する。

右手には自身と赤糸で結びつけた蛙。飛翔と同時にこれをぐしゃりと握りつぶす。

『ふたりきりの戦争』解除!

そう例え30匹の10回掛かりでかかろうと対応策はあるのだ。能力で10分の1まで
下げた鮭達の攻撃を、更に自身と蛙の『ふたりきりの戦争』で10分の1干渉にした
状態で受ける。その際のダメージは通常の100分の1。
これによりエゾヒグマの光線すら耐えうる鉄壁の防御となるのだ!

両者の視線が交差する。
そして彼の左手が驚き目を見開く少年に向かい、セットされた。

視線が通るということはレッドラインが通るということ、それは――

― 暗転 ―

それは射線が通るということと同義だ。
「え?…なんで」
左手に仕込まれたクロスボウより発射された麻酔注射の矢は、紅き光線に導かれるよう
少年の肩口に吸い込まれ、蛎崎はそれを呆けたように見やった後、昏倒した。

蛎崎の胸元より発生していた2本のレッドラインが、彼の気絶と共に同時に消滅する。
安堵の息を吐く、陽赫。
今度は正真正銘、自分と蛎崎をつなげたのだ。そして外部からの攻撃はほぼ防げると対戦
相手の能力を理解しはじめた少年の虚をつく形で毒矢での奇襲を行ったのだ。
1発外せば後がない仕込みだったが、辛くも少年を無力化させることに成功したのだ。
、、、、、、、、、、、、、、、、、
そう出せる糸は一本とは限らない。前の赤い糸はあくまで彼とマスコットとを結ぶ
運命の糸でしかないのだ。それはそれこれはこれという強引な理屈を通し、彼は
もう一本の新たなラインを創造し、攻撃を素通しさせることに成功したのだ。

ぐらり、流石に能力仕様とブラスター連続が答えたのか一瞬意識が遠くなる
だがまだだ、まだ奴が残っている。陽赫は被りを振り、意識を降り立つ下方に見据える。

視線の先、そこには大鷹より墜ちた少年をふわりと受け止めた一匹のフクロウがいた。
彼はゆっくりと地にスペースノイドの少年を横たえる。

「やはりアンタが”ウィッキーさん”か」

●旭山動物園 ―絢爛舞踏・連―

フクロウはホゥと頷いた。

「まあ、気が付きますよね。ちなみにいつ、お気づきになりましたか?」
「可能性は前から、確信したのはついさっき。アンタとそいつを繋げた赤い糸の動きだよ。
空宙を飛びまわる鷹から延びる赤糸の振れ幅、起点が場外として見るには異常に大きかった。」

予測される起点は100m以内、何故こんな真近にいるのか、理由を考えれば答えは明白だった。
相手の様子を伺いながら陽赫が言葉を続ける。

「しかし、よくそんな恰好に着替える時間あったな」
「いえ、今回は最初からこの恰好で来ましたよ。着替える必要性ってあるんですか?」
「…。」
陽赫の脳裏に梟の恰好をして深夜24時、時計を前に正座待機するウィッキーさんの姿が浮かぶ。
シュールすぎる絵面だった。こいつも北海道と同じく理違いの存在。

「闇打ちで御二方とも倒せればベストでしたか、どこで手順間違えたか、私もまだまだです。
で真沼さん、そちらも色々とお疲れのようですし、ここは一つ、真っ向勝負といきませんか?」

そういい英検使いは指をコキコキとならした。ふむ、陽赫が頷く。決して悪い提案ではない。
むしろディーモート良いといえた。陽赫も頷き、その提案に同調することにした。

「いいね、真っ向勝負。連戦でガス欠気味なんで助かるよ。」
独特の構えをとりながら、ETC使いは微笑む。

”真っ向勝負” 正面より向かい合った二人の胸元に―暗転後―紅き光がともる。


††

全てが、緑色のワイヤーフレーム輝線化とかし、直後、一本の赤線が結ぶ始点と終点が、
能力対象同士の結び付きを明らかにする。

暗転後、陽赫が見た光景は蝦夷蛙を蹴りあげるウィッキーの姿だった。本来ならその時点で爆散
確定だが非干渉効果により、蛙は無事!狙いたがわず猛スピードで陽赫の顔面へと突撃する。
カウンター狙いに徹していた彼はこれを躱すことが出来ない。片手で払いのける。
衝撃で蛙が毒液をまき散らしながら四散する。


そう蛙と陽赫との間には非干渉現象は起きなかった。そして英検使いは畳みかける。
『SHOOOOOOOOOOOOOOOOOUT!!!!』

英検使いの肺活量で発せられた音の壁が陽赫を打つ。電子機器が悲鳴をあげ、胸元に潜ませた
蝦夷蛙が眼を回し気絶する。これにより蛙と英検使いを結びつけていた『ふたりきりの戦争』解除!

ETC使いの狙いは明白!懐の蛙と相手とを繋げることで相手の一撃を無効化し、後の先(カウンター)
を狙ったのだ。英検使いはこれを完璧な信頼関係の元、看破。逆手にとって逆に奇襲をしかけた。
恐るべき信頼関係、彼らの前では”真っ向勝負”など虚しい言葉であった。完全にどっちもどっちだった。

「ちっ!」
「How areYou(掃-圧油)…fain…」
続け様、体勢を崩すため、足払いをかけ右上腕で圧力を加えるウィッキー。次の一撃に賭(ト)ス。
だが、目論見ならず!掃腿脚の時点で空振り―いや足は掬った。ただ、陽赫は―

陽赫は転倒せずそのまま空中に浮いていた。足など飾りと云わんばかりのETCの異常な
ボバーリング性能が発揮される。そのまま右上腕を掴みとると自身ごと投げるようにして、
相手の体を捲き込んだスラスター加速投げを繰り出す。
狙いは地面に叩きつけた後の寝技持ち込み。英検に寝技なし!

「but!(場跳。場を飛ぶという意味の英語)」
これを予期し直前で地を蹴るウィッキー。自ら勢いを付け1回転弱!からくも足から着地。
即座に両手を交差し頭部をガード!陽赫が加速投げから切り替えて放った胴廻し回転蹴りを受け切る。

今度は逆に足を折りに行ったウィッキーの魔手を避けるため、陽赫は左足で相手の肩を蹴る。
弾けるよう飛びのく二人。旋風のような影が二つ地を抉り、次の瞬間には
ブラスターを焚いたETCの飛び蹴り、達人級の英検使いの正拳突きが交差する。

その動きはもはや両者とも常人のそれではない、定石すら圧倒的勢いで無視し、初見では
絶対回避不能レベルの動きを連続で放っていた。そしてそれすらも両者は左右綺麗に別れ、
回避しつづける。
互いが回避行動をしながら互いの動きに見入っていた。このあまりにあまりの展開に両者の眼が、
驚愕に見開かれていた。それは自身に匹敵する未知の使い手にあった驚きからではない。
自分―いや自分達が、相手がどう動くのかを事前に”知って”いたからだ。既知の動き!馬鹿な!?

「ha!…redsun?」
「まさかアンタ”lynx”か!」

似た者同士。同じ考えや着眼点を持つ人間は似たような所で似たようなことをしている
可能性が高い。今回はその典型例だった。
陽赫が電脳空間を修練の場としていたようにその場を活用する他の人間がいたということなのだ。
それが目の前の男。電脳空間wbr02を象徴する二人の邂逅は、意外な場所でもたらされたのだ。

だが、逢瀬に浸る間はなかった。その出会いに巨大な影が水を差す。

目の前の邂逅に注視し、さしものの二人も周囲への警戒が疎かになったのか、その強襲に
奴に、対応しきれなかった。轟音と共に来た衝撃破にはじけ飛ぶ2名。

そう”奴”が降ってきたのだ。
エゾヒグマ、全長80m。北海道の陸の王。


●DO YOU KNOW "GODHAND" ?


空宙を舞いながら、彼は考えていた。

いま、明らかに自分を狙っていたな、とか、なんであっち狙わねえんだよとか。

それと同時に彼は遥か眼下を見下ろしていた。

倒すべき存在が見える、どうやら瓦礫の山に埋もれて身動きできなくなっているようだ。

その情報をエゾヒグマ達に伝えなくてはいけない。

他には居ない、オレだけ、敵意のあるもの。アレはオレだ。違う、そうじゃない。



―redsun
―redsunさん、しっかりしてください

俺は…敵じゃない!!お前の敵はもういない、安心していいんだ!

「うわっ」
浮遊感覚が消え、湧きあがる現実感、意識が急速に覚醒してくる。完全に意識を飛ばしていたようだ。

「意識をしっかり持って下さい。今リタイアされては私が困ります。」
「…lynx?」
そういったのはリンクス(山猫)ことウィッキーだ。両手に意識を失ったままの少年を抱えている。
そうだ、思い出した。『二人っきりの戦争(蛙)』でガードしたまではよかったが、叩き割られた
岩板の捲き沿いをくい見事下敷きにあったのだ。今は―下半身まで完全に埋まっていた。
…ピクリとも動かない。回避に専念していれば結果は違ったかもしれないが、彼自身が持つ受け
+能力使用の鉄板スタイルが裏目に出た形だ。

「状況は…どうなってる」
「森のクマさんが降りて来て貴方を探してます。おかげで動物園が荒れ放題です…ありえない珍事
なのですがどうも『北海道』が標的である貴方を見失ったようです。」
「…さっきオレはアンタらの敵じゃないって教えたから敵対リストからはずしてくれたんだろ。」
「mm、では単独でクマさんに当たるしかないですか。」

ウィッキーは口に手を当て考え込んでいた。陽赫の軽口のほうには付き合う気はないようだ。
そんなことが出来たら有史―正確には青函トンネルを作った阿倍比羅夫以来の快挙である。

「…仕方がない。後々『面倒くさいこと』になりそうで避けてたんですが、緊急回避ということで
もう、やっちゃいましょう。
あのredsun、ちょっとこの子を見てて貰えますか。今から、ちょっと追い返してきますんで。」
「は?」

今回、リークス・ウィッキーは旭山動物園の人的・物的被害を最小限に食い止めるよう”向うの”
園長と約束していた。そのために向うからマスターキーの調達や避難誘導のための準備を持ち
こんでいた。無論それは、対戦相手を誘導するための仕掛けにも成りうるものだった。
それが対価。それが『ソレ』の彼の『使用基準』の一つであった。そして

男は左手で右腕の上層を何か見えないモノでもあるかのようになぞり、そして不視の印を切る。
すると辺りにパチン、パチン、パチンと何か拘束具が外れるかのような音が鳴り響いていった。


” 完全熟達者解放(オーバー・アデプト・リリース) ”

『ソレ』が解放された。

「ま、そういう訳でして」
陽赫のほうを見、男はにやりと笑うと先ほど少年がしたように『指笛』を鳴らした。
そして、その瞬間には彼の姿はかき消えていた。


「I'm off, see you later 」

飛来した大鷹をクッション代わりにすると、その時には更に高く、天上高く飛び上がっていたのだ。


††



『アデプト(英語:adept)』

アデプトとは、神秘学上において達人を意味する。人間界ではそれ以上の位層は存在せず事実上、
修練者の最上位者を指す言葉となっている。

なお完全熟達者(オーバー・アデプト)とはその域すら突破”してしまった”者達に与えられる
称号で有り、多くの者が自ら制約を課すことで、己が力を達人級まで抑制している。

英検においては池松叢雲、Leaks Wickyなどがこの称号者に当たる。




そしてLeaks Wickyが、冠するオーバー・アデプトの名は―――――――――――――――


『Yaha! Taikan-soku&Overadept"GODHAND". 』



一瞬にして上空100m、かのエゾヒグマより高く跳び、その頭上へと至った男は、拳を振るう。
陽赫は見た。彼の男よりヒグマに降り注ぐ流星雨を、その脳天に突き刺さる黄金の輝き達を


『"GODHAND"shot, COOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOL

COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!

COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!

COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!

COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!

COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!COOL!


COOL!―DOWN!!(クール!クール!クール!という意味の英語)』


輝く流星群を天より受けたエゾヒグマは大きくのけぞり、眼を回す。
だが、DOWNには至らず!ヒグマは大きく口をあけると、男をひとのみにしよう………
…しよう、とはしなかった。

「FUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUAGOOOO~」

なんとエゾヒグマはそのまま大きく口を開けると、大きなあくびを連発しはじめたのだ。
傍目からも判るほど眼もとろんとしている。明らかに眠たげだ。

――まさか先ほどの連撃でエゾヒグマを冬眠時期の状態におとしこんだのか?
陽赫が驚愕に目を見張る。
そうTai-kansokuの感覚操作による手腕だった。クマは大型哺乳類に珍しく冬眠を行う。
そして10℃以下にまで体温を落とし、本格的な長期冬眠を行う他の爬虫類や齧歯類と
比べると冬眠期間中の体温は31~35℃と降下度の降り幅は極端に小さい。

悪魔的な知識と神の拳を宿した彼にとって不可能なTAI操作ではなかったのだ。
エゾヒグマは帰巣本能を強烈に刺激される…。
男はくるくると身体を回転させると大鷹の背に再び着地した。

「ハイじゃ北海道の皆サン、撤収お願いします。お疲れさまでした~Have a nice day~」

かくてエゾヒグマたちはHomeへと還って行った。


††


「ああ、今更ながらにどうして北海道の連中がアンタを襲わなかったか、判った。
こちら側に来る時に既にアンタはマスコット姿だった。つまり旭山動物園に既にいた―
『北海道にいた』。それ自体が対北海道用の策だったのか」

「御明答です。あちらの園長さんと面会し、協力を仰ぐため、現地に向かいました。
そして、ここポイントなんですが、来る途中で私は”北海道からの敵意をそらす術”を
かける軌道エレベータ『青函トンネル』を通ってます。昨日の今日のことなので
そこの御まじない効果が強く私の中で残っているんですね。
なので全般的に北海道自体やそこの動物達の敵意の対象になりにくかったんですよ。」

陽赫が呻く。げ。という感じだった。やりようによっては北海道の動物達はそろって
スル―出来たのだ。どちらにしろ、引きこもり生活を続けていた自分には北海道に赴く
という大胆な発想はでてこなかっただろうが。そして、もう一つシマフクロウはアイヌで
人を守る守護神と扱われている、その姿を形とったマスコットに対して、北海道民や
北海道が積極的に敵意を向けるだろうか?いや、ならないだろう。恐らく、それを含めての
あの格好だったのだろう。

「蛎崎という名前はね。圧倒的に青森と北海道に多いんです。
彼らは軌道エレベーターの順番を青森で暮らし待ちながら、北海道に移住していきました。
開拓者としての生活は厳しく過酷なものであり、そのせいか彼らの身体は非常に頑強で、
そしてそこから生まれる魔人能力も強力なもの多かったのです。

ですがね。
それ故に制約に仲間を傷付けない縛りを付けるものが多い。強力なものほどその傾向は強いんです。
彼らの郷土愛と同胞愛が為せる技なんでしょう―私はそれを子供のころから真近で見てきました。」
「アンタ、英国領スリランカの出身だったか…つまり」
「ええスペースコロニー『セイロン』。私もスペースノイド、コロニー出身者です。」

今回、念には念を入れ、戸籍は―北海道に移しましたけどね。さらりといった相手に
陽赫は苦笑した。あるかどうかも知れない能力制約にそこまでするのかと、
いやそこまでするのが”うちら流”ではある。

「ハイ疑問は解けましたか?ではredsun=サン。降伏をお願いします。」
「断ったら?」
「鉄拳です。蛎崎さんの覚醒も近そうですから容赦はできません。」

陽赫は吐息を吐いた。下半身は未だ埋まったままだった。最低でも片足は潰れているはずだ。
「……判った。負けを認める。
ただ諦めた訳じゃない。死ねばそこで終わりだから、一時的に負けを認めるってだけだ。
次善の策として。だからオレは『その言葉』を持って信じることにするよ。」

周囲は瓦礫の山だった。エゾヒグマは速攻で追い返したので被害は最小限度に抑えられたが
それにしたって酷い有様だ。その中で彼は目線で『ソレ』を指し示した。
そこには「Believe will」と書かれたボードが落ちていた。そう、いつだって可能性は0じゃない。
男は微笑んだ。
「御家族や御友人への御伝言は?」
「ぼちぼちとやってくとだけ、多分そのほうが”あーらしいな”で片付けてくれるって。」
「受け賜りました。では蛎崎さんのことよろしくお願いいたします。貴方方ならいい友人同士になれますよ。」

「あー、そっちもまあぼちぼちな。」
そして銀色の光が彼の義手から飛びだし、男の胸元に吸い込まれていった。
迷宮時計の統合が行われたのだ。儚い想いに囚われた希望がまた一つ、失われた瞬間だった。

そして男は去っていった。


●17:00 旭川市郊外

蛎崎裕輔と真沼陽赫はその日の夕方、市の郊外、草原地帯にいた。
裕輔が渋る陽赫を半ば無理やりに釣れ出したのだ。動物園の皆は夕飯までには帰れよーと
笑って見送ってくれた。そう何故か彼らはあの動物園で住み込みで働くことになったのだ。

「あのさー」
「はい、何でしょう」
「なんで、お前、馬鹿正直に今回の騒動、自分の仕業でしたって申告した?黙ってればいいじゃん。」
「迷惑をかけたら素直に謝る。それがここのルールです」
「んで、なんでそれ動物園側、受け入れて壊した分ここで働いて返していけって話になちゃうわけ?」
「それが北海道です。」

がく、あまりにもの『本土』との温度差にカルチャーショックを受ける陽赫、どうやら再起を図る
前に色々と学ばなければいけないことが、自分にはあるようだ。

「ああ、でも、これ一生ただ働きモンかもな…」
「すいません、借金半分背負せてしまって、でも頑張ってなんとかしましょう!」

そういう蛎崎裕輔の眼差しには迷いがなかった。自分のすべきことをしている、そういう
なんというか…誇りのようなものが感じられた。最初は頼りない印象だったのに結局、
引っ張られているのは常にこっちだ。陽赫はあの男と交した約束を思い出した。
(よろしくされてるのって実はオレのほうじゃないのか?)

「…?どうかされましたか?」
「ん…いや、今からやることって、必ずやらないけないことなのか」
「父から移入者は必ずやる。決まりのようなものだだってきいてます。」

陽赫は思う。
彼らはあまりにも『強い』。それは過酷な環境や外敵に彼らが『対応』する為と言われている。
だがそれは違うのではないか、これは人が持っている人本来の本当の『強さ』なのではないか、と。


「「北海道はでっかいどーーーーーーー」」

二人の大きな木霊はたなびき大平原の草むらに大きく大きく染み込み消えていった。

少年たちの新天地での第一歩が始まる。


(迷宮時計2回戦第2試合結果)

Leaks Wicky:帰還。凄い凄いと謳われるオーバーアデプトの力は自主規制。
蛎崎裕輔:飼育員見習い(研修中
真沼陽赫:飼育員見習い(研修中 のちスペースノイドとして立身『赫き太陽』として後世に名を残す。



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『Boys be ambitious !』

Boys be ambitious! 少年よ、大志を抱け。

Be ambitious not for money しかし、それは富を求める志であってはならない。

or selfish aggrandizement, not for しかし、それは利己心を求める志であってはならない。

that evanescent thing which men call fame.  それは名声という、つかの間のものを求める志であってもならない。

Be anbitious for the attainment of
all that a man ought to be .” 人間としてかくあるべき すべてのものを 求める大志を抱きたまえ。



(William Smith Clarkの別れの言葉、全文。)

それは未来ある若者たちへの祝福の言葉であると同時に
道を踏み外すことなく人として当たり前の尊重を求める戒めの言葉でもある。

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(Leaks Wickyの対価観測”Boys be ambitious with lostarm 2”了)