アルティメットゴッドモード その2

「準教授!」

転がるように研究室奴隷がノックもなしに慌ただしく扉を開け放った。
通常時であれば真理探究鞭打十発(死罪相当)に値する無礼。
だが、そうであるが故に、その行動は事の重大さを示していた。

「……はじまったか。」

呼ばれた女、30半ばという若年をして准教授の座に就くほどの見目麗しき才女が、猫の描かれたマグカップから口を離し、立ち上がった。
白衣をたなびかせ、音色鮮やかにヒールを鳴らし、実験室へと向かう。


威圧的に並ぶ計器のひとつをじっくりと観察したあと、彼女は沈痛な面持ちのまま目を閉じた。

「准教授……!」

研究室奴隷が恐る恐る差し出した手ぬぐいを細く折り、彼女は頭に巻いた。
白衣を脱ぎ捨てる。
次いで、紺色のタートルネックを乱暴に脱ぐ。
中から現れしは、豊満な胸とそれを締め付けるさらし。

バサリと、仰々しい実験装置の間に挟まれ置かれていた「それ」にかかっていた布をはぎ取る。
その布がとられるのはいつ以来なのだろうか。
もうもうと、ホコリが舞う。

「それ」は――――和太鼓だった。

「イヨォーーーーーーーッ!!!」

研究室奴隷が音頭をとった。

ドォォォン!!

左手、右手に握られし両のバチによる同時豪打!

「(魔人の域に留めておいた特異型魔人が、本来の姿を取り戻していく。)」

ドン! ドン! ドォーン!!

「(人の掛けた呪縛を解いて 魔人を超えた神に近い存在へと変わっていく。)」

ド・ドン! ド! ドォーン! 

「(天と地と万物を紡ぎ 相補性の巨大なうねりの中で 自らをエネルギーの疑縮体に変身させているんだわ。)」

ドドドドドドドドドドドド!! ★ 30コンボ~ ★

「(純粋に人の願いを叶える ただそれだけのために)」

ドンドンドン! カカカッカッ!!

最終更新:2014年11月11日 17:41