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プロローグ


【ツマランナーへ】
突然死んでしまってごめんな。実は俺と凛は迷宮時計争奪戦というのに参加しとってん。
最初は俺も優勝してさっさと日常に戻ろうと思ってたんやけど、凛も参加者と知ったから
二人で相談してここで諦めてもええと思った訳よ。正直しんどかった。ほな、な。
PS:俺らの死体触ったら俺の言った事の意味分かるけど参戦の義務が発生するから注意しろよ!


【ツマっちへ】
詳しい事は大体チンネンが書いてたから私からは特に何も。
PS:あの世ではもっと上手い人と組むから後追いするなよ!
後、有名なグループのマネして中途半端なパンチラしてるけど止めた方がいいと思う。

ツマランナーが遺書に目を通したのはスタジオで首を吊った二人を降ろしてからだった。
彼の全身に時計盤が浮かび上がり、迷宮時計についての知識が流れ込んでくる。

「先に遺書に目が行く様に工夫してから死ねやボケ!」

仲良く手を繋ぎ合ったまま硬直した二人の死体を蹴りつつ、ツマランナーはベースを鳴らす。

ジャーン!

「聞いて下さい。『グッバイ迷宮時計』」
「ワン、チー、ワンツーさんし」

ジャカジャカジャン

「いらないいらないいらなーい~ こんな力いらなーい~ グッバイ迷宮時計 フゥ~!」

ジャーン!

ツマランナーの魔人能力『歌えば多分なんとかなる』はギャラリーがいる場所で一曲歌い切ると
その歌詞に合わせた効果を自身に発動する。
だが歌い終わったが何の変化も起きない。

「クソったれ、この反応じゃあBパートまで歌い切ってもムダやな。やっかいなモンよこしやがってからに。
死ぬなら勝手に二人で死ねば良かったんや。クソが・・・三人揃ってオモロナイトファイブやなかったんかい」

項垂れて両目から涙をこぼすツマランナー。

「つーか、TMレボリューションのマネしてパンチラ路線で攻めて何が悪いねん。
つーか、サブイネンとカミマクリン付き合ってたんかい。知らんかった。・・・はぅあ!」

その時ツマランナーの脳内に新たな情報が流れ込む!
二人分の迷宮時計、しかもサブイネンは既に数回勝利していた。
よってツマランナーの入手した時計の力は非常にジュブナイル!
ツマランナーの肉体に宿った世界標準時計は通常の迷宮時計以上の情報を彼にもたらした!

「基準世界と平行世界の関係、迷宮時計が統合された時どうやって願いを叶えるのか、
優勝者が取りうる選択肢、なんやこれ、なんなんやこれは!」

流れ込んでくるあまりにも絶望的な情報の山。
ツマランナーは泣き叫び警察と二人の両親に連絡して葬儀に参加しバンドを休業し
起きる度に泣き3キロ太ってダイエットして戻しそして一週間後。

「聞いてくれ!皆が助かる方法があるんだ!」

対戦相手の言葉を無視。多分基準世界の人間だろうと決めつけ、説得なんていらんとばかりに
ツマランナーはベースを弾く。

ジャーン!

「聞いて下さい『六枚羽の天使』」
「ワン、ツー、ワンツーさんし」

ジャカジャカジャカジャカ

「誰もが知ってる天使様~ 銀の羽持つ天使様~」
「やめてくれ!何で分かってくれないんだ!」
「誰もが知ってる天使様~ 金の羽持つ天使様~ 銀の天使は五枚羽~ 金の天使は一枚で~
これで貰える~ キョロちゃんの缶詰~ヘイ!」

ジャーン!

銀の羽五枚と金の羽一枚を生やしたツマランナーがパンチラしながら羽ばたく。
そして自分にかかる重力を羽ばたきで半減すると陸上部時代に鍛えた足腰をフル活用して近くのビルまで
走って逃げた。

「飛ばないのかよ!」

飛ばない、というか飛べない。自力で飛ぶのは転校生の仕事だ。ツマランナーに出来るのはこの辺が限界だ。
効果時間が切れて羽が消滅するまでビルの中を駆け抜け続け二階まで上がると窓を開け、
真下に対戦相手(ギャラリー)の姿を確認する。

ジャーン!

「聞いて下さい『バーゲンバリケード』」
「止めるんだ!どうして分かってくれないんだ!」
「ワン、ツー、ワンツーさんし」
ジャカジャカジャカジャカ

「今日は何の日フッフ~、今日はポイント五倍感謝デー~
これはいかなきゃフッフ~、目当ての品もお手頃よ~、フッフ~ッフ~
行ってみたら既に行列が~、フッフ~」
ジャーン!
ツマランナーの曲が終わるとどこからともなく大量のオバハンが出現しビルの周辺を取り囲む!
ツマランナーの能力で出来る事は三つ。
一つは自分のダメージの回復、迷宮時計を手に入れた時に使ったのがそれだ。(失敗したが)
一つは自己強化、背中から金銀の羽を生やして足を速くしたのがそれだ。
そして最後の一つがアイテムの召喚、今回の歌でオバハン型のバリケードを出現させたのがそれだ。

「奥さん、ここでバーゲンですってよ」
「でもここってただの廃ビルじゃない」
「知らないわよそんなの、でも後30秒ぐらいは並んでみましょうよ」
「すみませーん!僕は奥に用があるんですどいて下さい!」
「あら駄目よボウヤ。取りあえず私達は30秒したら帰るから順番は守ってね」

ツマランナーの予想通り対戦相手はバリケードに足止めされてしまっていた。
敵である自分すら殺せないのだから、無関係なモブに手を出せないのは当然だろう。

ツマランナーは対戦相手の位置を見定めて窓から飛び降りる。
ミュージシャンのダイブスキルを持ってすればステージから狙いの観客に向かって飛び込む事は朝飯前、
このまま相手の脳天にベースを振り下ろしてそれで勝利確定、そのはずだった。

ズボォ!ゴガァン!

対戦相手の頭はツマランナーのスカートの中に入り込み、振り下ろしたベースはすぐ後ろのオバハンの頭を
トマトの様に潰した。目測を見誤ったのだ。ツマランナーは平行世界の参加者の中でも圧倒的に陽の側。
ファンサービスで行うダイブと殺すつもりで飛びかかるのとでは勝手が違う事を理解できていなかった。
ツマランナー万事休す!・・・と思いきや天は見捨ててはいなかった。

「ミギャー!な、なんだこれはー!?」

ツマランナーの股間に顔を突っこんだ対戦相手が白目を剥き倒れる。気絶である。勝負ありである。
自分のいた平行世界に戻ったツマランナーは服の下に隠した無数の時計盤を見られたのだと考えた。
自分自身でも初めて鏡にあの姿を映した時はショックで自殺しそうになったのだ、戦闘の緊張感の中
突然あんなんを見たら気絶しても仕方ないだろう。

「悪く思わんといてや。ワイは死にたくないんや。迷宮時計なんてもんばらまいた基準世界を跡形も無く潰すまでは
誰も信頼もできんのや。ワイは知ってしまったから」

ツマランナーが得た情報、それは迷宮時計を使っての願いを叶える手段の一つだった。
争奪戦に巻き込まれた多数の平行世界から、優勝者にとって都合のよい要素を抜きだして基準世界に上書きする。
これが迷宮時計を使って実行できる改変手段の一つであり、基準世界人にとっては最も手軽な手段の一つでもあった。

「んで、ほんなら要素を切り取られた平行世界はどうなるねん。迷宮時計は教えてくれんかったけど
平行世界は無茶苦茶になる。そうに決まっとる。ワイが優勝してここを、ワイの生まれたここを基準にしてやるねん。
そんでまずは迷宮時計とかいうのを作った基準世界をグチャグチャにして潰したる。迷宮時計なんて作られへんだら
ワイはメンバーからハブにされとるのにも気づかずにすんだんや。絶対に許さんからなぁ、基準世界人」