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右野斬子、幕間SSという名のプロローグSSの続き

「ういおshごすjgへjfvwじゅhbtごうwhkdjfgびうーーーー」

言葉にならない絶叫が、廊下中に響き渡った。
その絶叫の主、長井 一物(ながい いちもつ)は両足を揃えてピョンピョンと飛び跳ねる。
しかしそこに愉快さは無い、股間から血を垂れ流し、大の男が涙を流しながら痛みに跳ね狂うその姿は醜悪そのもの。

「おーい、大事なモンが落ちてんぞ。拾わなくていいのか―」

そんな男に笑いながら声をかける、制服姿の少女が一人。
ひときわ特徴的なのは、彼女の右腕……今しがた切り落とした男の血に塗れたそれは、人間の腕ではなかった。
その色は血の色と見分けがつかない程の真紅、先端は巨大な鋏……そう、蟹の腕である。
少女の右腕がシャキシャキと開閉する。その刃の先には、今しがた斬って捨てたものが転がっていた。
とてつもなく長い、人間の肌色をした丸い棒。長さは2メートル以上もあろうか。そしてその丸太の先は赤黒く、実にグロテスク。
そう、魔人、長井一物のイチモツであった。

(うーわー、凶悪ーー。あんだけ完璧に先手を取ったなら、とっとと首を落とせばいいのにー。鬼ー。悪魔ー)
(……てめえは黙ってろ)

イチモツを見据える彼女の頭の中で、幼い女の子の声がする。
彼女の中に蟹の呪いと共に潜む少女、永久乃 挟子である。
そして挟子と頭の中で会話をする少女の名は右野斬子。
かつて彼女は永久乃 挟子……、いや永久乃 挟子という幼女の姿を借りて人々を浚い、その身を喰らってきた巨大な化け蟹、デビルキャンサーと死闘を演じ、それを打ち倒した。
だが、その代償として蟹の呪いにかかり、左目と右腕が巨大な蟹のものという半獣人となってしまったのである。
そして、デビルキャンサーの意思であった永久乃 挟子もまた、呪いと共に彼女の中に潜むことになった。

「さて、長井一物。年貢の納め時だ。てめえの自慢のイチモツはご覧の通り。大人しく生徒会に連行されるんだな」

その戦いから1年半以上が過ぎ、彼女は今希望崎学園の生徒となっていた。
特異な姿となってしまった彼女がその姿を隠さずに通うことのできる場所は、戦闘破壊学園と呼ばれ、魔人の中でも更にキワモノが集まるこの学園しかなかったのである。
そして彼女は修業中の狂怪ハンターという自らの経歴を活かし、学内の治安を乱す不良魔人達を取り締まる生徒会の助っ人という立場にあった。
役員としての勧誘も受けたことがあったが、こんな姿であり、更に厄介なものを抱えている自分が役員となっては、生徒会に迷惑がかかると固辞している。

(聞こえてない。聞こえてない。いくら私の腕だって、生殖器を斬ったら痛みは抑えられないよ。分かっててやったくせにー)
「ちっ、アレの長さの割に根性の無え野郎だ」
(無茶言うなってー。大体、アレが長くなるのは魔人能力でしょ。本人の気は案外小さかったりして)

斬子が今しがたイチモツを切り捨てた魔人、長井一物は己の股間を自由自在に伸縮できる能力を持っていた。その長さ、最大で13kmにも及ぶという。
近年、巷で増殖を続けているという生殖器を操る魔人の一人だが、同種の多くの魔人がそうであるように、長井一物もまた、その能力を正しいことに使わなかった。
自由に伸びる己のイチモツを駆使して女子を強姦すること数十件以上、完全なハードコアファッカー魔人と化してしまったのだ。
希望崎学園生徒会はそんな彼を遂に看過することはできなくなり、右野斬子に生死を問わぬ彼への処分が依頼されたのである。

(でも、"斬"での空間移動。もう完璧に自分のものにしたみたいだねー。今の一撃、見事だったよー)
(癪だが……てめえやこの右腕との付き合いも長くなっちまったしな)

そんな長井一物と右野斬子の戦いは、わずか数秒で決着が付いた。
大胆にも白昼堂々、新たな獲物を求めて希望崎学園内の廊下を徘徊していた長井一物に対し、斬子は正面から近づいた。
女に飢えた長井一物は即座に彼女を凌辱すべく、己の股間を斬子の股間へ向けて伸ばした。
Gパンを突き破り、斬子へ巨大なイチモツが迫る。
しかし斬子は長井が股間を伸ばすと同時に飛び上がった。
そして空中で回転する斬子、それと同時にその右腕の鋏が一閃する!
瞬間、斬子の体は逆立ちの状態で、空中に浮かびあがったまま長井一物の眼前へ登場した。
突然の事に驚愕する長井一物。しかし彼の最大の武器である股間は伸びきったまま、彼女を迎撃することはもはや叶わない。
斬子はそのまま右腕の鋏を長井一物の股間の根元へと伸ばす。そしてそのまま、その長いイチモツを一瞬でちょん斬った。
哀れ、長井一物は悲鳴を上げて飛び跳ねることとなったのである。

「便利なモンだよ、まったく。嫌なぐらいにな」

斬子の右腕に光る巨大な蟹の鋏は三つの能力を持つ。
一つ、右腕を薙ぎ払うことで、空間を切りさき、自らの体か、生物以外の物体を瞬間移動させることのできる能力、"斬"。
斬子はこの空間移動を使い、一瞬で股間を伸ばして迫った長井一物をかわし、逆に自らその眼前へと迫ることができたのである。
そしてもう一つ。その鋏で挟むことで、それが『生物』であればいかような箇所であれど切り裂くことのできる能力"挟"。
長井一物のイチモツは、実は伸縮自在なだけでなく、勃起時には鋼並みの固さも誇ったのだが、斬子の鋏はそれをまるで豆腐を斬るかのようにたやすく両断したのである。
更にもう一つ。鋏を閉じた状態で突き出すことでいかような物も跳ね返すことのできる"突"という能力もあるが、今回は披露の機会は無かった。

(あ、見てみて、お姉さんー。あの人、遂に泡を吹いて倒れたよ、お仲間だー、私の)
「何っ……!ちっ!おい、大丈夫か!」

斬子の"挟"による切断は、相手の細胞に傷一つ残さず、ゆえに痛みすらほとんど感じないという特性がある。
だがそれにも限界はある。股間を斬られた痛みなど、どんなに綺麗に切ったところで、男子たるもの消すことができようか。
まして長井一物は己のイチモツに絶対の自信を持っていた魔人である。

(ん、どうしたの?お姉さん?)
「……死んでやがる」

倒れた長井一物に駆け寄り、その状態を検分した斬子は彼が既に事切れていることに気付いた。
股間を斬られた痛みによるショックか、それとも元々そういう制約の魔人能力だったのか、魔人、長井一物は己の股間の最期と共に己の生命も絶ったのである。

(んー、まあー、別にいいじゃん? 生徒会も生死は問わないって言ってたしー。それにお姉さんもいつも悪党、変態は死ねって言ってるじゃん)
「ああ、こいつは殺されてもしょうがない奴だった。だが……」

だが、長井一物の履歴に強姦は多数あれど、殺人はまだ一件も無かった。
無論、強姦も殺人に匹敵する許しがたい犯罪である。長井のイチモツによって、心身に取り返しのつかない傷を負った女子もいる。
しかし生徒会から取得した長井の経歴を見ると、長井が凶暴化したのは魔人能力に覚醒した後であった。それ以前はごく至って平凡な学生であった。
長井が強姦魔と化したのはその魔人能力のせいではないか。己の力を失えばまだ更生する可能性が少しはあるのではないか。
斬子はそう思ったからこそ、彼の首ではなく股間を刎ねた。去勢されることによって彼が生まれ変わることにわずかな期待をかけたのである。
しかし結果はもう二度と長井にやり直す機会を与えることの無いものとなった。

(ヘーイ!ヘーイ!暗いぜベイビー! 一瞬だけど、あんな汚い物に触れて切り落とすことになった、あたしの身にもなってみなー。首で良かったのにー)
(……そうか。てめえにはこの腕の感触が伝わるんだったな)

斬子の中に共存する永久野 挟子は、斬子の呪われた『蟹』の部分を通じて外界の知識を得ることが出来る。
例えば、斬子の左目から伸びる黒い『蟹』の目玉……通称、スキャンサーアイは四方200mを捉えることのできる優れものだが、
この映像を斬子の中の永久野 挟子が知覚し、それを斬子に伝えることで、"斬"による空間移動の位置を自在にすることが可能なのである。
そして彼女の『蟹の』右腕の感触もまた、永久野 挟子は知覚できる。だが……。

「んじゃ、もう少し味わってみっか?」
(え……?)

斬子は死体となった長井一物から離れ、ゆっくりと地面に落ちた彼のイチモツの側を歩いた。
そして、その先端へと向かっていく。

(ちょ……、おい、まて……)

斬子は数メートル程歩き、その足はそのイチモツが途切れたところで止まる。
そう、長井一物の巨大な亀頭の前で……。

「蟹にとって、亀は海の仲間だろ? 仲良くしようぜ、たっぷり」
(ぎゃーー!や、止めろこらっ!幼児ぎゃくたいはんたーい! ま、まてー、オラー!)

長井一物の巨大な亀頭に向かって右野斬子の右腕が伸びる!
斬子は1年以上侠子と過ごしたことで知っていた。彼女が割と人間の幼子に近い感性を持っていることを。
そんな彼女にとって大人の男のイチモツはグロテスクそのもの。それに触れ、撫でまわす感覚を味わうことがどれ程身の毛のよだつ行為か!

(あ、ま、待って、お姉さん。ほら、この人の股間。なんか変なものが巻かれてるよ。なんだろう)
「あん? 今更気を逸らそうたって無駄だ……、ん?」

その時、急に長井一物の股間が光を放った。
いや、正確には永久野侠子の言う通り、長井一物の股間にはあるものが巻かれており、それが急に輝きだしたのである。
そしてその光は長いイチモツの体から離れるやいなや、右野斬子の右腕へと巻かれた。
巻かれた箇所は、彼女の右腕が鋏となって分かれるそのちょうど前の箇所である。

「なんだ……こりゃ? 一体?」
(ん、うーん……。これは……時計かな? 腕時計。でも変なの。なんか目盛がいっぱいあるような。時計……なのかな?)

そう、長井一物は何と股間に腕(?)時計を巻いていたのだ。
その時計は主を失ったことで、斬子の右腕へと巻き付いたのである。

「こりゃー、1針時計だな。随分珍しいものを持ってやがったな。こいつ」
(1針……? 何それ)
「針一本で時間を現す、シンプルな時計だよ。まあ通な奴が持つような時計なんだが……なんで股間に巻いてやがったんだ?それでそれが何であたしに……」

その時、右野斬子、そして彼女と感覚を共有する永久野侠子の頭に膨大な量の情報が流れ込んできた。
それは、その1針時計が『迷宮時計』と呼ばれる時計の一つであること。
右野斬子が長井一物からその『迷宮時計』の所有権を引き継いだこと。
そして『迷宮時計』の所持者となったものに課せられる運命についてのことであった。

「ふーん、成る程……。『迷宮時計』……か。学園の生徒や生徒会の連中から噂は聞いていたが、まさか長井がこれの所持者だったなんてな」
(へー、面白そー。ねえねえ、お姉さん。当然参加するんだよね)
「てか、拒否することはできねえんだろ。まったく、また厄介なものを抱え込まされちまったみたいだな」
(またってなんだよー。振り返るなー。前へ進めー)
「確かにな……。殺し合いってのは気に入らないが……、この戦いで勝ち残れば望むことが何でも叶うかもしれねえんだろ?だったらてめえと別れることもできるかもな?」
(む……。ふっふーん。でも私だって、生き返ることができる可能性だってあるかもよ?)
「は……!ま、せいぜい期待してな。それに……」

(身体が元に戻るだけではなく……素敵な男とも出会えるかも……)

顔を赤らめ、ふと物思いに耽る斬子。
異形となって1年が過ぎても、まだ彼女はその純粋な気持ちを失っていなかった。

(ふーん……。よし!じゃあ、この迷宮時計さんの名前は『突子』さんだね。ちょうど針一本だし)
(……は? なんだそりゃ?)
(ほら、私が"挟"子で、お姉さんが"斬"子でしょ。この子が"突"子で、ちょうど"斬"、"突"、"挟"じゃない?)
(無理やりすぎるだろ……それ。)
(むー、ロマンが無いなー)
(やれやれ。ま、先は思いやられるが、仕方がないか)

とにかくこうなった以上、覚悟を決めるしかないようだ。
斬子は一度決断すれば、その意志は固い少女である。
斬子は己の赤い右腕、更にそこに新たに加わった大きな腕時計を見つめつつ、これから来るであろう新たな戦いへの思いを馳せていた。