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本屋文の反応


都内にあるとある屋敷の一室。
書斎として使用されているその部屋には、無数の本が並べられたたくさんの本棚。
そこには見る人が見れば羨ましがるであろう稀覯本とともに、小学生らしき人物のイラストが書かれた書籍が並ぶ。
そのアンバランスさはこの部屋の持ち主の性質を端的に表している。

部屋全体が見渡せる位置に設置された机の上にはパソコンと時計がはめ込まれた変わった装丁の本が一冊。
椅子に腰をかけた本屋文は目の前のパソコンを見ながら、飯田カオルの発表について考えていた。

迷宮時計争奪戦におけるマニフェスト。
彼女が優勝すれば時計を国家の管理下におくという。
それは文の目的ともかけ離れていない。

では文も迷宮時計の持ち主であると名乗り出て、彼女に協力するか。

「ダメだな」

飯田カオルは信用できない。
彼女は嘘にまみれすぎている。

まず、あの姿は嘘。そもそも飯田カオルは女性ですらない。
うまく化けてはいるが、文の「眼」はごまかせない。
飯田カオルの素性を調べたところ、元はホームレスの娘だということになっている。
恐らくはそのホームレスから戸籍を買ったといったところか。

魔人能力に襲われているというのも嘘。おそらくは視聴者に同情を引くための自作自演。
視聴者に注目される目的もあるか。

飯田カオルの言葉は真実かは分からないが、これまで分かっていることを考慮すれば何らかの罠であることも否定できないし、
そもそも都合が悪くなれば、姿を変えて消えてしまうことができる人間を信頼しろと言う方が無理な話だ。
カオルと接触するとしてもそれは迷宮時計所有者としてではなく、あくまで魔人司書本屋文としてになるだろう。

「まあ、あいつの正体が幼女なら、それも吝かではなかったのだがな」

子供に騙されるのなら本望だと笑いながら、冷めかけたコーヒーに口を付ける。
尤も本当にそんな幼い子供が時計の所有者である状況など文は望んでいない。
こんな殺し合いに子供が巻き込まれるなどあってはならないことだ。
だが、もし彼女の目の前にそんな敵が現れたとしたら。

「その時私はどうするべきだろうな」

そう呟くと中央の時計が時を刻み続ける机の上の本を手に取り、寝室に向かう。
後にはパソコンと空になったコーヒーカップが残されていた。