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大発表への反応~Leaks Wickyの場合~


Mr Wickyはその動画発表をホテルでリアルタイムで見ることができた。
親切な友人が彼に情報をもたらしてくれたのだ。

「しかし思い切ったことをしたものですネ。問題はMr.iidaが何を考えてこの発表をしたか―――なんですが。」

ソファにゆっくりと腰かけ、彼はウィスキーを片手に先の内容を反芻する。
ジャーナリストを自称する彼であったが今回の『発表』に関しては意外にもあまり好意的ではなかった。

メリットとデメリットを考える以前に色々とリスクが高すぎる行為に思えたからだ。
リスク、具体的にいえば『暗殺』など力尽くの行為の誘発である。
これは争奪戦の参加者によるものとは限らない。
「"迷宮時計"を完成させた者は、時空を操る力を手に入れる事が出来る。」という発言を真に受けた人間が
新規に名乗りを上げようと彼女を襲うかもしれないのだ。
あるいは”それも込み”で国家権力やマスコミを捲きこもうという腹かもしれないが、権力とはなかなか
どうして一枚板ではない。”裏”で各種諜報機関が入り乱れるような展開は勘弁願いたかった。

そしてリスクは対戦相手各種にも確実に及んでいる。この一文だ。

一つ、戦闘結果他新情報が入り次第、この動画やマスコミを使い情報を共有していきます。

つまり対戦相手が判った時点で対戦相手の情報をバラス可能性が非常に高いわけだ。
協力者がいればその対戦相手の情報もばらされる。

「そして対戦相手たちに下手なことをすればこちらの社会での居場所はないぞとプレッシャーを与えながら、
自分自身はマスコミを使って相手の弱点や魔人能力を割りだしていく…そんな感じなのですかね?」

グラスを傾け、氷を回す。
彼の知名度に関しては周知の通りだし、彼の魔人能力は知られても致命的なマイナスになるという類のモノでもない。
それでも”ウィッキーさん”が最終的に一人だけ生き残りましたという事実が残るのはやはり頂けない話だった。

「どちらかと言えばウィスキーも突きもストレートのほうが好みなのですが…なかなか、世知辛い」

彼は世界の謎を追う存在ではあったが、探偵のように最小の情報から真実を導き出すと言った奇特な人種(タイプ)
ではなかった。寧ろ膨大な情報の中からの取捨選択していくという割と世間常識に従った(と本人は思っている)
存在なのだ。まあ、世界中の情報を一手に所持していてもそれを上手く活かしきれなければ意味はない訳だが。

自前のPCで少し調べ物をした後、彼は一本、知人に電話をかけることにした。ワンコール半。

「ハイ、こちら日刊ハコワレ編集部です。」

††

「準備だけはできるだけしておいて、あとは『現場』対応」

割とフツーの対応だった。彼は携帯でちらりと時間を見てから、ひとり苦笑する。

”Mr. Wicky(ウィッキーさん)”

ってきり本名で表示されるものとばかり思っていたから、この表示は本人にも意外だった。
確かに他の愛称『リンクス(山猫)』などで呼ばれたら誰が誰だか判らないから、”言い表す”上でこの呼び名は正解なのだろうが…。

果たして時計は何を望む。
昔の自分のあり方を望んでいるのだろうか、それとも今ある自分を望んでいるのであろうか。

「それでは今日もよい一日でありますように」

時計の針が24:00を指していた。