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鬼無瀬大観プロローグ


生徒会武器貯蔵庫内の一角。通称『中村の間』。
かつて、生徒会には中村と呼ばれる伝説の刀匠が居た。
彼は第3次ハルマゲドンの折、その命を賭して無二の名刀、否、魔剣を作り上げ、生徒会陣営の勝利に大きく貢献したとされる。
魔剣は既に、失われて久しい。しかし、それを打つにあたって作られた試作品達
……試作品とはいえ、いずれも名刀と呼んで差し支えない……は 、今もこの場所にて、振るわれる時を待っている。
そして今宵、この危機に際して、一人の名刀がこの場所から姿を消した。
その奇特な形状から、今まで誰一人使おうとも考えなかった、収める鞘を持たぬ刀。
伝承にある、とある剣豪が振るっていた獲物に因み、その刀はこう呼ばれている。……『物干竿』と。
緑化防止委員が収集されてから、一分と経たぬ内に、その男、鬼無瀬大観は名乗りを上げた。
彼の望みは二つ。
一つは、彼の能力を生かすための獲物を与えること。
もう一つは、殉死した鬼無瀬晴観の、盛大な葬儀であった。
刀が運ばれてくるまでの間。大観はしばし雪成と言葉を交わした。
「晴観とは、一年違いで入門してのお 。女じゃったが、同世代でも、実力は一つ抜き出ておった。わしにとっては、乗り越えるべき、最初の壁よ!」
煙管を燻らせながら、大観は懐かしむように語る。雪成もこの時ばかりは、校則違反を見逃した。
「真面目な奴じゃった。不器用じゃったが、面倒見も良かった。何せ自分を倒そうとする奴に、何度も稽古をつけるくらいのお。」
「ま、だからこそ、逃げれはせんかったんじゃろうなあ。死んだら終わりじゃというのに。馬鹿な奴よ!」
ふーっ。と大きく息を吐き外を眺める。静かだが、確かな死の気配がそこには有った。
「……だが、いい女だった。」
外の静寂と同じ程、静かな声色だった。
「死んだら終わりと言いながら、決死隊に志願したのは、それが理由か。」
ジョン・雪成が尋ねる。
「惚れた女の為。命をかける理由に、それ以上があるかね。」
「そうか。」
愚かだと、雪成は思った。だが、今は、その愚かさすらありがたい。
生徒会室の扉が叩かれ、刀が届けられたことを告げる。
「時間だな。」
煙管の火を消し、大観が立ち上がる。
「では、参るとしよう。最後になるかも知れぬ。派手に暴れてやろうではないか!」
「そうなった時……君の葬儀は、晴観と共に行ったほうがいいかな。」
「雑兵一人の扱いにゃ重すぎる。捨て置け捨て置け、わしの事など。」
午前0時。夜明けまで残り6時間。鬼の一門が、園芸の修羅を討ちに逝く。