Heckbertの表記法

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光輸送経路の表現には,Heckbertの表記法による表現がよく使われている.Heckbertの表記法は,光源から出た光がいくつかの面に反射して観測者に到達するまでの経路を表すのに用いられる.Heckbertの表記法では,光輸送経路に関わる要素を以下の記号で表す.

  • L: 光源(a light source)
  • E: 観測者(the eye)
  • D: 拡散反射面(a diffuse surface)
  • S: 鏡面反射面(a specular surface)

これらを用いて,光輸送経路をLSSDEなどと表現するのである.LSSDEは,光源(L)を出て,鏡面反射(S)を2回経て,拡散反射(D)をした後に,観測者(E)へたどり着く経路を表す.

反射特性を拡散反射と鏡面反射に明確に分離できないときには,G: 光沢反射面(a glossy surface)を表記に加えることもある.

また,Heckbertの表記法では,正規表現の記法を用いて複数の光輸送経路を1つの表記に含めることがある.LD+Eは,光源を出て,1回以上拡散反射を行った後,観測者に到達する経路すべてを表す.正規表現による表記を導入すると,レンダリングにおいて考慮すべき経路すべては,L(S|D)*Eと書くことができる.

特徴的な経路

レンダリングアルゴリズムにはそれぞれ得意とする経路,苦手とする経路が存在する.

2014年現在のレンダリングアルゴリズムの多くは,シーンの中からSDSという経路を発見し,レンダリング結果に反映することを苦手としている.SDS経路の効率的な描画法は,レンダリング研究の主要なテーマになっている.

参考文献

  1. Paus S. Heckbert."Adaptive radiosity texture for bidirectional ray tracing".Computer Graphics,Vol. 24,Num. 4. pp.145-154.

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最終更新:2014年10月12日 09:11