2009年 総評

大賞『りんかねーしょん☆新撰組っ!』(6/26)《りぷる》

776 名前:540 ◆PAP76nfaQs [sage] 投稿日:2010/02/04(木) 00:31:26 ID:lMPMKN1CP
2008年、魔法少女アイ参の残した爪跡はあまりにも大きかった。
数多のクソゲーを、いやこのクソゲー界そのものを破壊しかねない程の怪物である。
アイ惨の後に残った道を歩めるだけのクソゲーは生まれるのか、KOTYを開催できるだけのクソゲーは生き残れるのか。
そんな不安を孕みながら、2009年は始まった。

そんな中、年明け早々に名乗りを上げたのはコットンソフトの「アンバークォーツ」。
一見普通の学園ものだが、それを期待してを買ったユーザーが見た物は
スーパーヒーロータイムに出てきそうなユカイなデザインの怪物や
後ろ半分すっぽんぽんという貧ぼっちゃまパワードスーツ姿のヒロインが戦うという大変シュールな絵面だった。
全体的な質自体は一部シナリオ以外安定しているものの、萌えゲー期待してた人には金返せレベルなのも確かであり
これを初めとして2009年は多数の宣伝詐欺を輩出する事となる。

続いて現れたのはまさかのソフトハウスキャラからの刺客・「DAISOUNAN」である。
作業ゲーには定評のあるキャラだが、これはイベント発生のためのフラグが完全な運ゲー化しており
またゲーム自体もとにかくプレイヤーの積み重ねや創意工夫が報われない作りになってしまっている。
箱庭ゲーなのに視覚的な楽しみも無くキャラ恒例のほのぼのレイプといったご褒美要素にも欠け、
やれる事の少なさやテンポの悪さも相まって面白みも何も無い作業ゲーとなってしまった。
キャラクターやシナリオはいつも通りなものの、同年末の「忍流」も評価は今一つでキャラ信者には受難の年となった。

ゲーム的につまらないというならサーカス10周年記念作品「ヴァルキリーコンプレックス」もそれに当たる。
エウシュリー監修という触れ込みのSLGパートはホントに適当に監修しただけで、
先頭のユニットに突っ込むだけの頭の悪いAIや攻撃力皆無のヒーラーまで敵を倒さないと成長できない等
戦略SLGの不文律すら守れておらず「ヒーラーを育てるゲーム」とまで言われたほど。
AVGパートも情報収集と戦闘を繰り返すだけで起伏もキャラ萌えも伏線回収も無く、
キャラ育成を兼ねたHシーンはパターン少ないのにフルスキップ不可で延々と同じものを見せられる。
作品スレではもう何を楽しめばいいんだよと嘆かれる、コンシューマーゲーとエロゲーの悪いとこ取りをしたような作品だった。

これら三本はそれぞれ購入者に地獄を見せたのだが、
アンバーはクオリティ自体は安定、ダイソーは強烈なインパクトに欠け、VCはサーカスらしく無難につまらないと
いずれも何かひとつ物足りないというところだった。
他を見ると「ふわりコンプレックス」「プリンセスパーティー」などはこれといったネタもなく、
マルウェア混入の「河原崎家の一族2完全版」は酷いけどクソゲーとはまた別とされ、
大きな話題となったエロイッカイダケこと「きっと、澄みわたる朝色よりも、」と
変態バカゲーと思ったら超展開猟奇鬱ゲーだった「鬼うた。~鬼が来たりて、甘えさせろとのたもうた。~」も
問題はあるが好みの範疇としてノミネートには至らなかった。
やはり今年は大きな話題は無いのかとスレが過疎っていく中、一本のゲームの情報がスレに投下される。

「りんかねーしょん☆新撰組っ!」である。

某所の2009上半期クソゲー投票で知名度の低さにも関らず上記のVCに次ぐ2位を獲得した本作、
作品スレを覗いてきた住人はこう語る。
「なんだろう、俺はマインドシーカーのスレにでも迷い込んでたんだろうか」

これは転生ものに異世界ものを混ぜており、それらの世界を幻覚という形で見るのだが
それらが演出も説明も脈絡もなく、場所も視点も時間軸すらもスッ飛ばして挿入されるのである。
それもタイミングは戦闘中など何の前触れも無く、しかもシーン自体は断片的かつ殆ど関係性が無いため
要点は説明不足で蛇足は満載、把握するにはバックログやら何やらを駆使して要点を抜き出したり構成しなおしたりする作業が必要。
この麻薬をやってフラッシュバックしてるような構成に加えて、ライターの自己満足的な多数の専門用語や
読み手のミスリードを誘う手法が解り辛さに拍車をかけ、おまけに頻繁に挿入されるアイキャッチがテンポを悪化させるため
シナリオを理解するにはヒエログリフを読み解くかのような解読作業という名の苦行を求められることになる。
この不具合も無いのにバグかと思うくらい意味わからんシナリオは
「エスパーしか楽しめない」「ニュータイプ覚醒の為のゲーム」とまで言われ、
クソゲーとして突き抜けた個性を持つ一本を待ち望んでいた住人達に絶賛された。

この流れに乗ったか、この夏には様々なクソゲーが跳梁跋扈することとなる。
まずはアーベルソフトウェアの「MQ~時空の覇者~」。
フルプライスでボイス無し・選択肢すら無い一本道シナリオでクリアまで5~10時間というボリュームが織り成すは
「アミュレットを持つ者以外信じるな」と言われたのに最後までアミュレットを持つ者は出てこないといった伏線のぶん投げっぷり、
情報交換とHだけして30分程度で死に別れる全く感情移入できないヒロイン達、
途中で二回キーボード入力を要求される箇所があるも後の展開に何の影響も及ぼさないシステム、
そして黒幕が明らかになったところで「俺達の戦いはこれからだ!」で終わり、スタッフロールすら存在しない幕引きである。
タイトルのMQの意味は分からず仕舞いで、そもそもパッケージ裏に登場しないキャラが4人も描かれているという未完成っぷりなのに
事前告知も続編の予定も無しという対応があの菅野ひろゆき氏の成れの果てだと思うとあまりに遣る瀬無い。
売上が散々だった為被害の規模自体は小さいもののその爆発力はとてつもない水爆実験のようなクソゲーであり、
m9(^Д^)にちなんでm9と揶揄されるのも致し方ない事だろう。

夏の問題作といえばフロントウイングの「タイムリープぱらだいす」を忘れてはならない。
箱を開けるとまずお詫びの文章が目に入るという本作、一言で言うならバグの嵐である。
ゲームが落ちる・電源が落ちる・進行不可のハマり・ダンス中下半身が埋まる・後ろ向き・視点がゲッダン化・
空中お猪口・ソフトボール大の耳垢・魚のヒレのような和服の袖・キャラが離れた状態で遠隔セックス……数え上げればキリが無い。
パッチでそれらが駆逐された後に残ったのはギブアップ臭漂うおなざりなイベントとゲーム進行に何の影響も及ぼさない不毛なSLG、
そして事前告知では複数人同時可能だったのがゲーム中だと一人しか表示できない宣伝詐欺のダンスシーンである。
前作「タイムリープ」のベンチマークで二人同時に滑らかにダンスをさせていたのがなぜ退化したのかは知る由も無い。
発売後半年時点でも未だ実装されてないステージや体位がいくつもあり、PCはβ版で完成はコンシューマーとまで言われる始末である。
バグ動画を一日で権利者削除した仕事の速さを何故開発で発揮しない、とは誰もが突っ込んだことだろう。

そして9月、いよいよ2009年最大の騒動となった問題作「ひしょ×ひしょ」が登場する。
「太陽が月に覆い隠される現象は日食か甘食か」といったふざけたクイズが可愛く見えるほどの大問題、
それはCG・シーン・音楽モードが存在せずCG枚数は事前告知の半分以下、Hシーンの半数以上が真っ暗という未完成品を売った事だった。
昨年のごらんの有様を髣髴とさせる事態に作品スレは騒然となるも、本当の問題はは開発元のゆ~かりそふとの対応にあった。
発売後四日シカトを決め込んだうえに責任者がペンネームでの謝罪文、
一週間後に出たパッチではヒロインの立ち絵の顔だけ写してフェラだという暴挙を演じ
「ごらんの生首だよ!」の言葉と共に一躍その悪名を轟かせた。
その後も「CG未完成を隠すためにわざとCGモードを見れなくして発売」「背景写真盗用」
「ハーレムルート未実装について雑誌に間違った資料を渡してしまったと弁解」など叩けば叩くほど埃の出る始末。
二ヵ月後に完全版パッチを出すも事前告知をしてなかったため発売日組は殆ど売り払った後で逆に反感を買うと、
最後まで後を濁しまくったその対応は百戦錬磨のエロゲーマー達ですら激怒させ、
ゲームラボの2009年衝撃ニュース・美少女ゲーム編で第10位にランクインされるほどだった。

ひしょ×ひしょの印象が強すぎたせいかこの秋に話題に上ったのは「佐野俊英が、あなたの専用原画マンになります」位だったが、
やはりというか魔物蠢く年末になるといくつものクソゲーが這い出してきた。
「ひだまりバスケット」「らぶデス4」「Eternal Sky ~悠久の空の彼方~」「出撃!乙女たちの戦場」
「世界に男は自分だけ、全世界の女性を妊娠させて人類を救え!~ザーメンキャラバン認定ソフト~」……
そんな中でも最も話題になったのはリトルプリンセスの「夏いろペンギン」であろう。
某アイドル育成ゲーの声優が出演している事で話題となった本作だが、発売後は選り取り見取りのバグで話題となった。
その中でも有名なのが「脈絡無く唐突にヒロインの全裸立ち絵が表示される」というバグで、
裸立ち絵が三人も重なるEXILE全裸、Hシーンの一枚絵に被るモザイク全裸、挙句男キャラまで全裸という凄まじいバグっぷりを披露し
バグ色ペンギンの二つ名と共にその名を世に知らしめた。

このように年末には様々なクソゲーが現れたものの、07年の怒りの日・08年のごらんの有様に匹敵するような嵐は起こらなかった。
怒りの日完全版こと「Dies irae ~Acta est Fabula~」もインストールに何重ものネット認証が必要・認証回数制限ありで中古不可など
相変わらずゲームと喧嘩のどちらを売りたいんだという根性の汚さを見せ付けるも、作品自体は年間ベストテンに名を連ねる程の良作であり
今回の年末の魔物は比較的大人しかったといえる。

2009年はアイ惨のような特級のクソゲーはなかったものの、見返してみると宣伝詐欺・未完成・電波シナリオ・バグゲー・ウイルス混入と
様々な方向性のクソゲーが跋扈するバリエーションに満ちた年となった。
そんな中、最終ノミネートに残った入選作は

「MQ~時空の覇者~」
「タイムリープぱらだいす」
「ひしょ×ひしょ」

そして大賞は
「りんかねーしょん☆新撰組っ!」
とする。


怒りの庭事件やアイ惨ショックの影響か商品未満の出来の代物が多数生まれてしまった2009年。
その中でもMQの未完成投げっぱなし、タイムリープぱらだいすのβ版級のバグ、ひしょ×ひしょの発売後対応はそれぞれ特筆すべき酷さだった。
それらは確かに強烈なクソ要素だが、言うなれば盤外戦のようなものでクソ「ゲー」としては邪道であり、見ていて決して気分のよいものではない。
そんな中、それなりに人気も実績もある絵師を使い、大きなバグもなく、ゲームとして何一つ破綻していないにも関らず、
ただ難解かつ説明不足な超展開シナリオの一点のみで他の作品群と渡り合ったりんかねのストロングスタイルは一種の爽やかさすら感じさせ、
またこの一点においては前回王者のアイ参ですら真似できない強烈な個性であるという事もあり、今回の受賞とあいなった。
願わくは、2010年もただ不誠実なだけでなくフルスロットルで逆走するかのような明後日の方向にトバした作品が生まれる事を期待してやまない。

最後に、りぷるの前作「にーづまかぷりっちょ!」の欠点である冗長さや説明臭さをあり得ないほど悪化させてきた
りんかねーしょん☆新撰組っ!のライター・kozakana氏に次の言葉を送る事で2009年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板を締め括ろうと思う。

「普通の萌えゲーを期待したらkonozamaだよ!」




  • おなざり→おざまり -- 名無しさん (2010-03-07 20:20:16)
  • おざなりw -- 名無しさん (2010-03-07 20:20:30)
  • おにぎり -- 名無しさん (2010-08-03 16:25:00)
  • わっしょい -- 名無しさん (2010-12-28 16:26:21)
  • おだまり -- 名無しさん (2011-02-23 19:01:00)
  • みるくwww -- モリーゾ (2011-08-17 06:41:19)
  • ひだまりバスケットってWikiに選評が無いけどどの辺がクソだったの? -- 名無しさん (2012-06-20 02:10:49)
  • ひだまりバスケットは一番のメインヒロインのかすが(義妹)の評判が悪いからだったかな。他の人のルートでは主人公がヒロインと付き合おうとするのを邪魔し、肝心の本人ルートは周囲の人間、とくに母親に叩かれまくりになるシナリオってのを不快に思う人が少なくなかった。それと誤字の多さ -- 名無しさん (2012-06-29 10:38:09)
  • ぶっちゃけ「年末の魔物」って話題の為の数合わせって感じがするな。あんまりおもしろくなかったけど、クソゲーって気分にはならない気がする -- 名無しさん (2012-07-08 11:03:30)
  • ひだまりバスケットは「これのお陰で(中の人の)ふーりんも嫌いになりそう」と言っていた人もいたほど、妹が不快。自分もその意見に同感。 -- 名無しさん (2012-07-14 12:44:34)
最終更新:2015年01月11日 03:56